空間トランスクリプトームの手法と応用:組織構造と遺伝子発現の統合による新たなアプローチ
RNA-seqをはじめとするトランスクリプトーム解析は、細胞機能や疾患メカニズムの解明に不可欠な手法として急速に普及してきた。しかし、従来のRNA-seqでは組織内での細胞の局在といった空間情報が失われるため、組織レベルでの生命現象を包括的に理解することは困難であった。こうした課題を解決する手法として登場した空間トランスクリプトームは、遺伝子発現データに組織内の位置情報を付加することで、細胞間ネットワークや微小環境を空間的な視点から解析できる画期的な技術として確立しつつある。本稿では、空間トランスクリプトームの代表的な実験技術と解析手法を概説し、脳神経科学や腫瘍免疫学をはじめとする最新の応用事...
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Published in | JSBi Bioinformatics Review Vol. 6; no. 1; pp. 1 - 10 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本バイオインフォマティクス学会
2025
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Summary: | RNA-seqをはじめとするトランスクリプトーム解析は、細胞機能や疾患メカニズムの解明に不可欠な手法として急速に普及してきた。しかし、従来のRNA-seqでは組織内での細胞の局在といった空間情報が失われるため、組織レベルでの生命現象を包括的に理解することは困難であった。こうした課題を解決する手法として登場した空間トランスクリプトームは、遺伝子発現データに組織内の位置情報を付加することで、細胞間ネットワークや微小環境を空間的な視点から解析できる画期的な技術として確立しつつある。本稿では、空間トランスクリプトームの代表的な実験技術と解析手法を概説し、脳神経科学や腫瘍免疫学をはじめとする最新の応用事例を紹介する。 |
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ISSN: | 2435-7022 |
DOI: | 10.11234/jsbibr.2025.primer1 |