第20回 臨床不整脈研究会 ATP急速静注により停止した左室流出路起源リエントリー性心室頻拍

症例1は明瞭な基礎心疾患を有さない30歳,女性.運動後の心室頻拍(VT)を主訴に入院.心臓電気生理学的検査ではイソプロテレノール(ISP)投与下でのプログラム刺激によりVTが誘発された.VT中に加えた頻回刺激でconstant fusionが認められた.ATP20mg急速静注にて周期が延長しVTは停止した. 症例2は54歳,男性.基礎心疾患は拡張型心筋症.ISP投与下のプログラム刺激でVTの再現性ある誘発がみられ,VT中の頻回刺激でconstant fusion,progressive fusionがみられた.ATP10mgの急速静注で再現性ある停止効果が得られた.両者ともVT中の心電図は右脚...

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Published in心臓 Vol. 40; no. Supplement4; pp. 134 - 140
Main Authors 高野, 誠, 深水, 誠二, 北條, 林太郎, 小田切, 史徳, 仲井, 盛, 弓場, 隆生, 小宮山, 浩大, 辰本, 明子, 水澤, 有香, 小松, 宏貴, 田辺, 康宏, 大塚, 信一郎, 手島, 保, 西崎, 光弘, 櫻田, 春水, 平岡, 昌和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2008
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Summary:症例1は明瞭な基礎心疾患を有さない30歳,女性.運動後の心室頻拍(VT)を主訴に入院.心臓電気生理学的検査ではイソプロテレノール(ISP)投与下でのプログラム刺激によりVTが誘発された.VT中に加えた頻回刺激でconstant fusionが認められた.ATP20mg急速静注にて周期が延長しVTは停止した. 症例2は54歳,男性.基礎心疾患は拡張型心筋症.ISP投与下のプログラム刺激でVTの再現性ある誘発がみられ,VT中の頻回刺激でconstant fusion,progressive fusionがみられた.ATP10mgの急速静注で再現性ある停止効果が得られた.両者ともVT中の心電図は右脚ブロック・下方軸を示し,最早期興奮部位は左室流出路大動脈弁直下であり,同部位へのアブレーションが奏功した.2症例ともにVT中にentrainment現象が得られており,その機序はリエントリーである.ATP急速静注により停止するリエントリーVTは極めて稀である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.40.Supplement4_134