結核症における糖中間代謝の研究 血中焦性ブドウ酸・乳酸を中心として

結核症は, 生体と結核菌との間における感染症としてのみでなく, 体質病的な面も多多あり, ためにその病態生理ははなはだ多岐にわたっている. しかし結核症における治療の展開と, 代謝経路の探究によって, この病態生理の研究は著しい進展をみている. 結核症における糖中間代謝の面では, ビタミンB1(VB1)を中心とした追求が行なわれ, その体内利用効率悪く, またその付燐化の阻害のみられることが報告されている. 山村ら1)は, 重症結核患者では, VB1負荷によっておこる尿中排泄量が脚気患者のそれより多く, また夏季において, 血中VB1エステル量が, 結核患者では, 健康人より減少していることを...

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Published in医療 Vol. 20; no. 5; pp. 399 - 417
Main Author 伊藤, 益義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1966
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.20.399

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Summary:結核症は, 生体と結核菌との間における感染症としてのみでなく, 体質病的な面も多多あり, ためにその病態生理ははなはだ多岐にわたっている. しかし結核症における治療の展開と, 代謝経路の探究によって, この病態生理の研究は著しい進展をみている. 結核症における糖中間代謝の面では, ビタミンB1(VB1)を中心とした追求が行なわれ, その体内利用効率悪く, またその付燐化の阻害のみられることが報告されている. 山村ら1)は, 重症結核患者では, VB1負荷によっておこる尿中排泄量が脚気患者のそれより多く, また夏季において, 血中VB1エステル量が, 結核患者では, 健康人より減少していることを報告しており, また渡辺2)は, ジアゾ反応の本態は, VB1欠乏症と関連あるトリプトファン代謝障害の産物であるウロクロモーゲンの増加であるとし, VB1と結核症との関連について, なお追求が続けられている.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.20.399