甲状腺未分化癌の治療成績の検討
当科では甲状腺未分化癌に対する治療として,腫瘍の増大による窒息を回避するために,まず局所のコントロール(腫瘍可及的摘除あるいは試験切除に加え放射線照射)を行い,その後化学療法を行っている.今回,可及的に腫瘍を摘除し得た群(摘除群)と試験切除にとどめた群(非摘除群)の治療成績を比較検討した. 1980年1月から1995年12月までの16年間に当科で治療を行った初発甲状腺癌668例中組織学的に未分化癌と診断された21例(3.1%)を対象とした.内訳は摘除群10例,非摘除群11例であった.摘除群1年生存率10.0%,最長生存13カ月,非摘除群1年生存率27,3%,最長生存34カ月であった.有意差は認...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 1; pp. 1 - 5 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.01.1998
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.59.1 |
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Summary: | 当科では甲状腺未分化癌に対する治療として,腫瘍の増大による窒息を回避するために,まず局所のコントロール(腫瘍可及的摘除あるいは試験切除に加え放射線照射)を行い,その後化学療法を行っている.今回,可及的に腫瘍を摘除し得た群(摘除群)と試験切除にとどめた群(非摘除群)の治療成績を比較検討した. 1980年1月から1995年12月までの16年間に当科で治療を行った初発甲状腺癌668例中組織学的に未分化癌と診断された21例(3.1%)を対象とした.内訳は摘除群10例,非摘除群11例であった.摘除群1年生存率10.0%,最長生存13カ月,非摘除群1年生存率27,3%,最長生存34カ月であった.有意差は認めないが, 1年以上の長期生存例は非摘除群に多く認められた.したがって,現時点における本腫瘍に対する効果的な治療法は,診断を兼ねた試験切除後,すみやかに放射線照射,化学療法を行うことであり,拡大手術は行うべきでないと考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.59.1 |