補助人工心臓症例における感染防止対策

当施設の補助人工心臓(VAD)症例15例の術後の炎症反応, 細菌検査結果, 手術回数などを分析し, 当施設の感染防止対策の効果と問題点について検討した。 縦隔炎など重篤な感染症やVAD駆動中の細菌検出症例は皆無であり, 当施設で行なっているVAD駆動中の感染防止対策は有効であった。しかし, 炎症反応はVAD離脱後再上昇し, 細菌検査も離脱後に陽性となり, VAD駆動中のみならず, 離脱後も感染防止対策を徹底すべきであると思われた。 検出された細菌は, 弱毒菌, 真菌で, これは抗生剤の大量, 長期間投与による日和見感染のためと考えられ, 抗生剤の種類, 量, 期間の適正な使用が必要である。 ま...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in人工臓器 Vol. 19; no. 1; pp. 95 - 98
Main Authors 折目, 由紀彦, 長谷川, 隆光, 畑, 博明, 八木, 進也, 塩野, 元美, 瀬在, 幸安, 大平, 政人, 原田, 泰, 鈴木, 修, 塚本, 三重生, 陸川, 秀智, 進藤, 正二, 北村, 信三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1990
Online AccessGet full text
ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.19.95

Cover

More Information
Summary:当施設の補助人工心臓(VAD)症例15例の術後の炎症反応, 細菌検査結果, 手術回数などを分析し, 当施設の感染防止対策の効果と問題点について検討した。 縦隔炎など重篤な感染症やVAD駆動中の細菌検出症例は皆無であり, 当施設で行なっているVAD駆動中の感染防止対策は有効であった。しかし, 炎症反応はVAD離脱後再上昇し, 細菌検査も離脱後に陽性となり, VAD駆動中のみならず, 離脱後も感染防止対策を徹底すべきであると思われた。 検出された細菌は, 弱毒菌, 真菌で, これは抗生剤の大量, 長期間投与による日和見感染のためと考えられ, 抗生剤の種類, 量, 期間の適正な使用が必要である。 また, 手術回数が多いほど感染機会が増え, 炎症反応の亢進, 細菌陽性率の上昇につながっており, VADの装, 脱着以外の止血を目的とした再開胸などを極力少なくすることが大切である。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.19.95