硬膜外麻酔による卵胞吸引術

不妊症患者11名について, 体外受精のための卵胞吸引術を硬膜外麻酔下で行い呼吸循環系の変動を調べた. Trendelenburg (T) 体位時間 (以下いずれも平均値) 36.4分, 腹腔内圧13mmHg, 傾斜角度27.6度であった. 気腹施行後呼吸数は22.4回と増加, PaCO2は30.8mmHgと低下した. T体位にした後は, 呼吸数が24.7回に増加, PaCO2も39.9mmHgと上昇したが, 患者自身の努力により代償が可能な範囲内であった. 心拍数は有意に低下したが平均血圧は一定に保たれた. 症例の70%が手術中の息苦しさや不安感を訴え, 54%が次回の手術には他の麻酔法を望ん...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 6; no. 4; pp. 405 - 409
Main Authors 天笠, 澄夫, 加登, 譲, 高橋, 達朗, 尾野, 隆, 安藤, 香子, 堀川, 秀男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 1986
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Summary:不妊症患者11名について, 体外受精のための卵胞吸引術を硬膜外麻酔下で行い呼吸循環系の変動を調べた. Trendelenburg (T) 体位時間 (以下いずれも平均値) 36.4分, 腹腔内圧13mmHg, 傾斜角度27.6度であった. 気腹施行後呼吸数は22.4回と増加, PaCO2は30.8mmHgと低下した. T体位にした後は, 呼吸数が24.7回に増加, PaCO2も39.9mmHgと上昇したが, 患者自身の努力により代償が可能な範囲内であった. 心拍数は有意に低下したが平均血圧は一定に保たれた. 症例の70%が手術中の息苦しさや不安感を訴え, 54%が次回の手術には他の麻酔法を望んだ. 全身麻酔併用等の工夫が必要であるとともに, 卵子段階への薬剤の影響も今後検討されるべき課題である.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.6.405