脳分離体外循環法の変遷とその臨床的影響

我々は弓部大動脈瘤手術の脳保護手段に脳分離体外循環法を用い, 主に送血方法について工夫を重ねてきた。前期は両側腋窩動脈と左総頚動脈から送血し (A群12例), 後期は瘤内から直接弓部三分枝に送血した (D群27例) 。A群とD群について灌流条件や脳合併症について検討した。総灌流量はD群の方が有意に多く, D群の左総頚動脈灌流圧はA群の左浅側頭動脈圧より低かった。脳合併症については, 永続性障害はA群1例 (8.3%), D群3例 (11.1%) に生じ, 一過性障害はA群1例 (8.3%), D群3例 (11.1%) に生じた。瘤内から直接弓部三分枝に送血することにより, 浅側頭動脈圧測定と腋...

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Published in人工臓器 Vol. 29; no. 1; pp. 85 - 88
Main Authors 真鍋, 隆宏, 山崎, 一也, 井元, 清隆, 岩井, 芳弘, 鈴木, 伸一, 市川, 由紀夫, 矢野, 善己, 土田, 匡明, 近藤, 治郎, 高梨, 吉則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.02.2000
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Summary:我々は弓部大動脈瘤手術の脳保護手段に脳分離体外循環法を用い, 主に送血方法について工夫を重ねてきた。前期は両側腋窩動脈と左総頚動脈から送血し (A群12例), 後期は瘤内から直接弓部三分枝に送血した (D群27例) 。A群とD群について灌流条件や脳合併症について検討した。総灌流量はD群の方が有意に多く, D群の左総頚動脈灌流圧はA群の左浅側頭動脈圧より低かった。脳合併症については, 永続性障害はA群1例 (8.3%), D群3例 (11.1%) に生じ, 一過性障害はA群1例 (8.3%), D群3例 (11.1%) に生じた。瘤内から直接弓部三分枝に送血することにより, 浅側頭動脈圧測定と腋窩動脈の確保が不要になり, 麻酔導入時間を短縮できるなど, 手技が簡略化できた。脳合併症の発生率は送血方法による差はなかった。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.29.85