術前,術後の介護評価からみた80歳以上高齢者消化器外科手術症例の検討

1992年4月より1999年3月までの80歳以上高齢者消化器外科手術40例につき術前,術後の日常生活活動(以下,ADL), 日常生活自立度(以下,寝たきり度)の変化を中心に検討した.術前検査値異常,併存疾患は90%で認められたが緊急手術例や悪性腫瘍に対する姑息手術症例を除く待機手術症例では重篤な合併症も少なく耐術可能であった.しかし退院可能となった30例において術前後のADL変化をみると,移動,排泄面を中心に,6例 (20%) で何らかの低下を認め,寝たきり度においては「生活自立」から「寝たきり」へと著明に上昇した症例も2例認められた.高齢者手術においては手術侵襲の軽減を図ることはもちろんであ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 1; pp. 1 - 7
Main Authors 遠藤, 幸夫, 黄, 舜範, 高橋, 修, 下田, 司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.2001
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.1

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Summary:1992年4月より1999年3月までの80歳以上高齢者消化器外科手術40例につき術前,術後の日常生活活動(以下,ADL), 日常生活自立度(以下,寝たきり度)の変化を中心に検討した.術前検査値異常,併存疾患は90%で認められたが緊急手術例や悪性腫瘍に対する姑息手術症例を除く待機手術症例では重篤な合併症も少なく耐術可能であった.しかし退院可能となった30例において術前後のADL変化をみると,移動,排泄面を中心に,6例 (20%) で何らかの低下を認め,寝たきり度においては「生活自立」から「寝たきり」へと著明に上昇した症例も2例認められた.高齢者手術においては手術侵襲の軽減を図ることはもちろんであるが,耐術のみにとらわれず,術後のADLの低下を考慮し,適切な介護支援が提供できるような体制を整えて手術に臨むべきであると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.1