膵癌肺転移の1切除例

膵癌は進行が早く転移も高頻度におこる予後不良な癌である.さらに肺転移は通常多発性転移や癌性リンパ管症などが多く,切除可能例の報告は稀である.今回,膵癌肺転移の1切除例を経験したので報告する.症例は78歳,女性.2006年11月膵癌に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.外来にて経過観察を行っていたが,2010年2月胸部CTで右下葉中枢側S9-10境界に約20 mmの結節を認めたため当科を紹介された.FDG-PET検査では陽性であったが,気管支鏡検査では確定診断には至らなかった.原発性肺癌,または転移性肺腫瘍を疑い,底区域切除,リンパ節サンプリングを行った.肺内には17 mmと0.4 m...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 26; no. 1; pp. 026 - 029
Main Authors 吉津, 晃, 神谷, 一徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2012
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Summary:膵癌は進行が早く転移も高頻度におこる予後不良な癌である.さらに肺転移は通常多発性転移や癌性リンパ管症などが多く,切除可能例の報告は稀である.今回,膵癌肺転移の1切除例を経験したので報告する.症例は78歳,女性.2006年11月膵癌に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.外来にて経過観察を行っていたが,2010年2月胸部CTで右下葉中枢側S9-10境界に約20 mmの結節を認めたため当科を紹介された.FDG-PET検査では陽性であったが,気管支鏡検査では確定診断には至らなかった.原発性肺癌,または転移性肺腫瘍を疑い,底区域切除,リンパ節サンプリングを行った.肺内には17 mmと0.4 mmの2つの結節が存在しており免疫染色でCK7陽性,CA19-9陽性,CK20陰性,TTF-1陰性であり,病理組織的に膵切除標本と同一の腺癌であり膵癌肺転移と診断した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.26.026