頭部画像所見と予後が解離した遷延性出血性ショックに伴う低酸素性脳症の1例

人工妊娠中絶処置中に子宮破裂を来たし,遷延性低血圧と低酸素血症が原因と思われる低酸素性脳症を合併した1例を経験した。ICU収容時には,高度な意識障害,脳波の平低徐波化,頭部コンピューター断層撮影(computed tomography; CT)所見に広範囲な異常所見と,高度な脳浮腫を認め,予後不良と考えられた。しかし,第23病日から意識レベルが改善し始め,第122病日には軽度のパーキンソン様症状を残すものの,介助歩行にて退院できた。本例は,臨床症状が軽快した時点でCT所見と磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging; MRI)-T2強調像に異常所見を認めたものの,MRI...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 3; no. 3; pp. 229 - 234
Main Authors 石蔵, 礼一, 藤田, 啓起, 尾崎, 孝平, 丸川, 征四郎, 山内, 順子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 01.07.1996
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.3.229

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Summary:人工妊娠中絶処置中に子宮破裂を来たし,遷延性低血圧と低酸素血症が原因と思われる低酸素性脳症を合併した1例を経験した。ICU収容時には,高度な意識障害,脳波の平低徐波化,頭部コンピューター断層撮影(computed tomography; CT)所見に広範囲な異常所見と,高度な脳浮腫を認め,予後不良と考えられた。しかし,第23病日から意識レベルが改善し始め,第122病日には軽度のパーキンソン様症状を残すものの,介助歩行にて退院できた。本例は,臨床症状が軽快した時点でCT所見と磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging; MRI)-T2強調像に異常所見を認めたものの,MRI-T1強調像には異常所見を認めなかった。この事実は,虚血性脳障害の予後を画像所見から推定する場合,頭部CT所見のみに依存することは危険であり,MRI-T1,2強調像所見が参考になると思われた。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.3.229