術中輸血と補体系

近年, 補体は麻酔の分野でも注目されて, 術中大量出血及び輸血が補体系に及ぼす影響を知る事は, 術後の免疫系, 凝固線溶系とも密接に結びついており重要である. 今回我々は, 予定手術患者55名を出血量によって4群に分け, 各々術前, 術中 (輸血前, 輸血後,) 術後の4回にわたり, CH50, ACH50, C1q, C4, C3, C5, C9, C1 inactivator, Factor Bを測定した. 輸液による希釈を考慮し, 各々の測定値はalbumin により補正した. 結果, C3のみ各群とも低下傾向を示し, 他の測定項目では変化が無かった. C3の低下は大量出血群で著明であり...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 4; no. 3; pp. 276 - 283
Main Authors 池田, 一美, 沖田, 泰治, 円山, 信二, 池田, 寿昭, 牧野, 義文, 三宅, 有, 鈴木, 貴和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 1984
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Summary:近年, 補体は麻酔の分野でも注目されて, 術中大量出血及び輸血が補体系に及ぼす影響を知る事は, 術後の免疫系, 凝固線溶系とも密接に結びついており重要である. 今回我々は, 予定手術患者55名を出血量によって4群に分け, 各々術前, 術中 (輸血前, 輸血後,) 術後の4回にわたり, CH50, ACH50, C1q, C4, C3, C5, C9, C1 inactivator, Factor Bを測定した. 輸液による希釈を考慮し, 各々の測定値はalbumin により補正した. 結果, C3のみ各群とも低下傾向を示し, 他の測定項目では変化が無かった. C3の低下は大量出血群で著明であり, 輸血による影響が大きいと思われるが更に今後の検討により一層明白になるものと考えられる.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.4.276