マンニトールの血清及び赤血球内カリウムへの影響

患者15名をA群 (20%マンニトール600ml投与, 8名), B群 (同300ml投与, 7名) に分けマンニトール投与中の電解質動態を検討した. A, B両群で血清浸透圧は上昇し, 血清Na, Cl, ヘマトクリットは低下した. 赤血球内Na, Cl, 濃度は, それに対応してマンニトール投与中増加した. 血清K濃度はB群では, 変わらなかったが, A群でコントロール値3.8±0.1mEq/1からマンニトール投与後1時間値4.2±0.2mEq/1へと増加した. 血清K濃度増加の機序として, 浸透圧利尿により循環血漿量が比較的に減少するため高浸透圧状態で細胞内より細胞外へ水分が移行する際に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 6; no. 2; pp. 196 - 203
Main Authors 藤田, 喜久, 山川, 謙輔, 丸山, 一男, 奥田, 真弘, 宗行, 万之助
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 1986
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:患者15名をA群 (20%マンニトール600ml投与, 8名), B群 (同300ml投与, 7名) に分けマンニトール投与中の電解質動態を検討した. A, B両群で血清浸透圧は上昇し, 血清Na, Cl, ヘマトクリットは低下した. 赤血球内Na, Cl, 濃度は, それに対応してマンニトール投与中増加した. 血清K濃度はB群では, 変わらなかったが, A群でコントロール値3.8±0.1mEq/1からマンニトール投与後1時間値4.2±0.2mEq/1へと増加した. 血清K濃度増加の機序として, 浸透圧利尿により循環血漿量が比較的に減少するため高浸透圧状態で細胞内より細胞外へ水分が移行する際に細胞内Kが共に遊出することが原因と考えられる. 2g/kg以上のマンニトール大量投与により高K血症が発症する危険性が有る.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.6.196