両心不全に対する補助人工心臓の治療効果の検討

重症両心不全(BVF)に対する両心及び左心補助人工心臓(BVAD & LVAD)の心補助効果について、成山羊を用いた慢性実験において検討した。BVFは、常温下大動脈遮断による心筋障害により作製した。重症BVFにおいて、肺高血圧がなく、不整脈をコントロールできれば、容量負荷を行なうことによりLVADのみによる循環維持が可能であり、心機能の回復を期待できる。BVADを適用すると、右房圧を高く維持する必要がなく、又不整脈時にも循環管理はより容易である。心機能の回復は、心拍数増加、左房圧上昇、左室容積拡大および壊死心筋の結合織化による残余健常心筋発生エネルギーの有効利用などによりもたらされる。...

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Published in人工臓器 Vol. 16; no. 1; pp. 45 - 48
Main Authors 中谷, 武嗣, 高野, 久輝, 野田, 裕幸, 梅津, 光生, 福田, 幸人, 木下, 正之, 田中, 隆, 岩田, 博夫, 松田, 武久, 中村, 孝夫, 関, 淳二, 高谷, 節雄, 林紘, 三郎, 由谷, 親夫, 阿久津, 哲造, 曲直, 部寿夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1987
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Summary:重症両心不全(BVF)に対する両心及び左心補助人工心臓(BVAD & LVAD)の心補助効果について、成山羊を用いた慢性実験において検討した。BVFは、常温下大動脈遮断による心筋障害により作製した。重症BVFにおいて、肺高血圧がなく、不整脈をコントロールできれば、容量負荷を行なうことによりLVADのみによる循環維持が可能であり、心機能の回復を期待できる。BVADを適用すると、右房圧を高く維持する必要がなく、又不整脈時にも循環管理はより容易である。心機能の回復は、心拍数増加、左房圧上昇、左室容積拡大および壊死心筋の結合織化による残余健常心筋発生エネルギーの有効利用などによりもたらされる。しかし、心機能の回復の可否については、VAD適用前に受けた心筋損傷の程度に左右されると考えられる。広範囲に及ぶ心筋損傷では、VADを用いて全身循環を良好に維持しても心機能の回復は期待できない。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.16.45