第18回心臓性急死研究会 心室中部肥大型心筋症に持続性心室頻拍を認めた3症例

心室中部肥大型心筋症に心室頻拍を伴った3症例を経験した.3例とも肥大型心筋症との診断で外来通院し心臓MRIにて心尖部に心室瘤を認めていたが,定期施行の心臓超音波検査やホルター心電図では心室性期外収縮や,非持続性心室頻拍(最大8連発)を認めるのみであった.1例は動悸精査目的で入院し,シベンゾリン内服導入後の外来経過観察中に突然死をきたした.他の2例は失神を主訴に入院し,心臓電気生理検査を施行した.そのうち1例は血行動態の破綻を伴う持続性心室頻拍が,残り1例は複数種類の持続性心室頻拍誘発されたため,2例ともアミオダロン導入後にICD植え込み術を施行した.2症例では同様の心電図上の特徴が観察されV4...

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Published in心臓 Vol. 38; no. Supplement3; pp. 25 - 31
Main Authors 森崎, 倫彦, 五関, 善成, 小野, 晴稔, アブラ, アブライテ, 荒田, 宙, 川出, 昌史, 石山, 泰三, 平野, 雅春, 寺岡, 邦彦, 山科, 章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2006
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Summary:心室中部肥大型心筋症に心室頻拍を伴った3症例を経験した.3例とも肥大型心筋症との診断で外来通院し心臓MRIにて心尖部に心室瘤を認めていたが,定期施行の心臓超音波検査やホルター心電図では心室性期外収縮や,非持続性心室頻拍(最大8連発)を認めるのみであった.1例は動悸精査目的で入院し,シベンゾリン内服導入後の外来経過観察中に突然死をきたした.他の2例は失神を主訴に入院し,心臓電気生理検査を施行した.そのうち1例は血行動態の破綻を伴う持続性心室頻拍が,残り1例は複数種類の持続性心室頻拍誘発されたため,2例ともアミオダロン導入後にICD植え込み術を施行した.2症例では同様の心電図上の特徴が観察されV4~6におけるR波の減高および上に凸のST上昇を認めた.肥大型心筋症において,経過中にこのような特徴的なST-T変化を示す症例では心室瘤の進行を表している可能性があると考えられた.また,一般的に肥大型心筋症は心室期外収縮や心室細動の合併が多く,持続性心室頻拍は稀とされている.しかし本症例のように心尖部心室瘤を伴う症例では,同部位の特異性により心室頻拍が持続し得る可能性があると考えられた.肥大型心筋症の突然死予防の治療戦略を考慮する上で貴重な3症例と考え提示した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.38.Supplement3_25