第17回臨床不整脈研究会 慢性心房細動症例における電気的除細動前後でのmicroemboric signals(MES)の比較

【目的】慢性心房細動例において電気的除細動後に血栓塞栓症の発生が数%みられることが報告されている.抗凝固療法下に電気的除細動を行い,除細動前後での経頭蓋ドプラ法(以下TCD法)によるmicroemboric signals(以下MES)を検出し,比較検討を行った. 【対象および方法】対象は心房細動症例16例,年齢は47~77歳(平均59歳).TCD法には,PioneerTC2020(EME社製)および2MHzプローブを用いた.計測は原則として電気的除細動の直前直後で,片側の内頸動脈の血流を連続10分間にわたり測定した.信号強度の閾値を6dBとし,二人の検者が明確な信号と判断したものをMESとし...

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Published in心臓 Vol. 37; no. Supplement4; pp. 25 - 28
Main Authors 岡野, 喜史, 大塚, 崇之, 小林, 建三郎, 山崎, 純一, 藤代, 健太郎, 五十嵐, 正樹, 高村, 和大, 正林, 浩高, 原田, 昌彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2005
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.37.Supplement4_25

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Summary:【目的】慢性心房細動例において電気的除細動後に血栓塞栓症の発生が数%みられることが報告されている.抗凝固療法下に電気的除細動を行い,除細動前後での経頭蓋ドプラ法(以下TCD法)によるmicroemboric signals(以下MES)を検出し,比較検討を行った. 【対象および方法】対象は心房細動症例16例,年齢は47~77歳(平均59歳).TCD法には,PioneerTC2020(EME社製)および2MHzプローブを用いた.計測は原則として電気的除細動の直前直後で,片側の内頸動脈の血流を連続10分間にわたり測定した.信号強度の閾値を6dBとし,二人の検者が明確な信号と判断したものをMESとした.電気的除細動前後でTCD法によりMESを測定した. 【結果】除細動前に検出されたのが3例でこの内1例は前後で変化なく,除細動前に検出されず除細動後に新たにみられたのが2例であり,除細動前にはみられず除細動後に検出されたのが3例であり,計6例(37.5%)が除細動前後でMESが検出された.除細動前後でMES検出数は0.25±0.58で,除細動後のMES検出数は0.44±0.73であり,除細動前後でのMES検出に有意差はみられなかった,なお,除細動後に正常洞調律に復帰した症例は,16例中14例であり,除細動後に全例血栓塞栓症状はみられなかった. 【総括】MES計測は,電気的除細動前後での血栓塞栓症の予見に有用である可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.37.Supplement4_25