第17回 心臓性急死研究会 低用量のIa薬が過度なQT延長とTorsades de Pointes(TdP)を来した頻拍依存性心筋症の1例
59歳,男性.失神歴あり.心不全とwide QRS頻拍のためアブレーション目的に入院した.頻拍性心房細動(233,899拍/日)と偽性心室頻拍があり,心拡大とLVEFの低下(EF=47%)を認めた.BNPは378.9pg/mLと上昇していた.プロカインアミド(PA)1g/日の投与でデルタ波は消失し,内服の翌日には洞調律に復した(全投与量1,2g).この時点でQTc間隔は625msecに延長しており,TdPが頻発した.しかしPAの血中濃度は0.5μg/mLと低値であった.心室ペーシングを行うもQT間隔の短縮は認めず,MgとメキシレチンでTdPは抑制された.後日EPSで左室側壁のKent束を焼灼し...
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Published in | 心臓 Vol. 37; no. Supplement3; pp. 61 - 66 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2005
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.37.Supplement3_61 |
Cover
Summary: | 59歳,男性.失神歴あり.心不全とwide QRS頻拍のためアブレーション目的に入院した.頻拍性心房細動(233,899拍/日)と偽性心室頻拍があり,心拡大とLVEFの低下(EF=47%)を認めた.BNPは378.9pg/mLと上昇していた.プロカインアミド(PA)1g/日の投与でデルタ波は消失し,内服の翌日には洞調律に復した(全投与量1,2g).この時点でQTc間隔は625msecに延長しており,TdPが頻発した.しかしPAの血中濃度は0.5μg/mLと低値であった.心室ペーシングを行うもQT間隔の短縮は認めず,MgとメキシレチンでTdPは抑制された.後日EPSで左室側壁のKent束を焼灼した.ペーシングレートとQT間隔の短縮効果を心機能が改善する前後で比較したところ,QT間隔およびその短縮率ともに心機能改善後には正常化していた.頻拍依存性心筋症では心筋カリウムチャネルの発現変化などから低用量の抗不整脈薬でも過剰なQT延長を生じたと考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.37.Supplement3_61 |