第15回心臓性急死研究会 Disopyramide服用中にHolter心電図でTorsades de pointesを認めた1例

症例は82歳,女性,心室性期外収縮(PVC),下腿浮腫で内科外来加療中であり,下腿浮腫に対してfurosemide 40mg/日を,PVC(Lown 4A)に対してはdisopyramide 300mg/日を投与されていた.Disopyramide服用開始1年後より数秒間の意識消失発作が出現するようになりHolter心電図を施行した.平均心拍数は53 bpmで,PVC総数は1,686/日であった.24時聞を通してQTcが0.695と著明に延長しており,午後5時に集中して,先行R-R間隔が1,600msec前後に延長した後に約10秒間の自然停止するTorsades de pointes(Tdp)...

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Published in心臓 Vol. 35; no. Supplement3; pp. 89 - 93
Main Authors 長瀬, 衣代, 高柳, 寛, 岩崎, 洋一, 中田, 俊之, 田中, 数彦, 溝口, 圭一, 津田, 麻希子, 千田, 龍二, 加藤, 剛, 小松, 孝昭, 清野, 正典, 黒柳, 享義, 上白土, 洋俊, 小林, さゆき, 酒井, 良彦, 井上, 晃男, 林, 輝美, 諸岡, 成徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2003
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Summary:症例は82歳,女性,心室性期外収縮(PVC),下腿浮腫で内科外来加療中であり,下腿浮腫に対してfurosemide 40mg/日を,PVC(Lown 4A)に対してはdisopyramide 300mg/日を投与されていた.Disopyramide服用開始1年後より数秒間の意識消失発作が出現するようになりHolter心電図を施行した.平均心拍数は53 bpmで,PVC総数は1,686/日であった.24時聞を通してQTcが0.695と著明に延長しており,午後5時に集中して,先行R-R間隔が1,600msec前後に延長した後に約10秒間の自然停止するTorsades de pointes(Tdp)を認めた.Tdpと症状は一致していた.血清カリウム値は3.2mmol/l,マグネシウム2.2mg/dl,電解質に影響を与えうる血中ホルモン値は正常,disopyramide血中濃度は3 . 3 μ g / m l であった. Q T 延長とT d Pの原因はdisopyramideと利尿剤による低カリウム血症によると考え,同薬剤を中止し,電解質の補正を行い,QTcは0.38に正常化し,Tdpは出現しなくなった.【考察】投不整脈薬によるQT延長にはいくつかの要因があげられているが,本例では基礎心疾患はなく,disopyramideと低カリウム血症,高齢,女性がQT延長に相乗的に関与したと考えられる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.35.Supplement3_89