第17回 心臓性急死研究会 トリカブト中毒により誘発された致死的不整脈に対し多量のNaチャネルブロッカー,補助循環の併用療法にて救命し得た1例

症例は20歳,女性.自宅でトリカブトを服用.知人の要請により近医へ救急車で搬送された.胃洗浄施行したが,心室頻拍(VT)を頻回に認めるため当院へ救急車転院.車内で心室細動(VF)が出現.ニフェカラント靜注,電気的除細動(DC)を2回施行し,心肺蘇生(CPR)を行いながら当院に到着.CPRを継続しつつ,DCを頻回に施行,アトロピン,リドカイン,プロプラノロールを静注し,血管内バルーンパンピング(IABP)を施行するもelectricalstorm(ES)は持続.ピルジカイニド50mg静注後にESは抑制傾向を示したため,さらに50mg追加投与したところslow VTへ移行.依然循環動態は不安定であ...

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Published in心臓 Vol. 37; no. Supplement3; pp. 74 - 79
Main Authors 清水, 昭彦, 大宮, 俊秀, 山縣, 俊彦, 大村, 昌人, 森谷, 浩四郎, 中尾, 文昭, 松崎, 益徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2005
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.37.Supplement3_74

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Summary:症例は20歳,女性.自宅でトリカブトを服用.知人の要請により近医へ救急車で搬送された.胃洗浄施行したが,心室頻拍(VT)を頻回に認めるため当院へ救急車転院.車内で心室細動(VF)が出現.ニフェカラント靜注,電気的除細動(DC)を2回施行し,心肺蘇生(CPR)を行いながら当院に到着.CPRを継続しつつ,DCを頻回に施行,アトロピン,リドカイン,プロプラノロールを静注し,血管内バルーンパンピング(IABP)を施行するもelectricalstorm(ES)は持続.ピルジカイニド50mg静注後にESは抑制傾向を示したため,さらに50mg追加投与したところslow VTへ移行.依然循環動態は不安定であったため,経皮的心肺補助(PCPS)を挿入され集中治療室(ICU)へ入室.この間に再びESが出現してきたため,ICUにてリドカイン50mg,ピルジカイニド12.5mg静注後,slow VTとなり,以後ESは認めなかった.また8時間後には完全にsinusrhythmとなった.トリカブト中毒による致死的不整脈に対し,DCが無効であった場合,迅速な補助循環の導入下でのNaチャネルブロッカーの使用は,循環動態の安定化に有用であると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.37.Supplement3_74