ゴマの双生葉形成に関する研究•続報

1. ゴマの胚の生長点を, 対生する第1葉原基を通る面で二分すると, 第1葉原基はしばしば双生葉となる. 手術の時期をいろいろに変えてみると, 双生葉は, 手術が休眠状態の胚の生長点になされたときに形成されるが, 胚が発芽活動にはいると, まだ生長は起こらなくても双生葉形成率は急に減り, 細胞分裂が始まるころにはほとんどそれは形成されなくなることが知られた. 2. 休眠胚の生長点の手術ののちには, 再生した生長点の, 傷をうけた側にあらたに表皮が生じた. 24時間胚の生長点ではこのことは起こらない. 新しい表皮は tunica が下方に向かって引き伸ばされることによって形成される. したがって...

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Published in植物学雑誌 Vol. 74; no. 879; pp. 402 - 413
Main Author 塙, 順
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本植物学会 1961
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Summary:1. ゴマの胚の生長点を, 対生する第1葉原基を通る面で二分すると, 第1葉原基はしばしば双生葉となる. 手術の時期をいろいろに変えてみると, 双生葉は, 手術が休眠状態の胚の生長点になされたときに形成されるが, 胚が発芽活動にはいると, まだ生長は起こらなくても双生葉形成率は急に減り, 細胞分裂が始まるころにはほとんどそれは形成されなくなることが知られた. 2. 休眠胚の生長点の手術ののちには, 再生した生長点の, 傷をうけた側にあらたに表皮が生じた. 24時間胚の生長点ではこのことは起こらない. 新しい表皮は tunica が下方に向かって引き伸ばされることによって形成される. したがって, この場合には生長点に強い歪曲が起こったことになる. 生長点の内部構造にも強い乱れが起こっているであろう. 3. 双生葉形成過程は, 手術による生長点の構造および機能の乱れ, ならびにその後の再編成ということから説明された.
ISSN:0006-808X
2185-3835
DOI:10.15281/jplantres1887.74.402