那覇市立病院で2009 年30 週から35 週に診断した インフルエンザA 1,017 例の臨床的検討

那覇市立病院で2009 年30 週(7/20~7/26)から35 週(8/24~8/30)までの6 週間にインフルエンザA と診断された1,017 例について,臨床的検討を行った. 年齢の中央値は17 歳で,10 歳未満が315 人(31%),10 代が257 人(25%),20 代が260 人(26%)と,全体の82%が20 代以下の若年者で占められていた.診療科は内科が580 例,小児科が452 例で,総受診者のうち714 人(73%)が発症から12~24 時間以内に来院しており,そのほとんどが休日を中心とした時間外に受診していた.4 歳以下では,問診でインフルエンザ患者との接触歴が88%...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 84; no. 2; pp. 153 - 158
Main Author 知花, なおみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 2010
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi.84.153

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Summary:那覇市立病院で2009 年30 週(7/20~7/26)から35 週(8/24~8/30)までの6 週間にインフルエンザA と診断された1,017 例について,臨床的検討を行った. 年齢の中央値は17 歳で,10 歳未満が315 人(31%),10 代が257 人(25%),20 代が260 人(26%)と,全体の82%が20 代以下の若年者で占められていた.診療科は内科が580 例,小児科が452 例で,総受診者のうち714 人(73%)が発症から12~24 時間以内に来院しており,そのほとんどが休日を中心とした時間外に受診していた.4 歳以下では,問診でインフルエンザ患者との接触歴が88%に認められ,この年代における問診での接触歴は重要であると思われた.臨床症状として87%の患者に38℃以上の発熱が認められ,咳嗽86%,頭痛73%,関節痛69%,咽頭痛65%,悪寒61%,筋肉痛50%,悪心・嘔吐・下痢が18%にみられた.治療については,oseltamivir が606 例(60%)に,zanamivir が78 例(8%)に処方され,麻黄湯が175 例(17%)に処方された.ノイラミニダーゼ阻害薬が処方されていない症例は333例(33%)で,oseltamivrir については,特に10 代でその処方が30%と低かった.入院となった症例は12 例(1.2%)で,成人入院症例9 例すべてに基礎疾患を認めた.入院時診断として肺炎が6 例(50%),喘息発作が4 例(33%)認められた.入院12 症例のうち10 例(83%)が2 度目の医療機関受診で迅速キットが陽性となり,ノイラミニダーゼ阻害薬が開始され,合併症の治療のために入院となっていた.このことから流行期には迅速キットが陰性であっても,基礎疾患のあるインフルエンザ様症状を有する患者には早期の抗ウイルス薬の投与が重要であると思われた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi.84.153