日本新産地上藻の1種 Fritschiella tuberosa Iyengarについて

本邦新産地上藻の1種である緑藻 Fritschiella tuberosa Iyengar の形態的ならびに生態的な形質について記載した. 1. 本藻の産状については, 主に水田のあぜ道など比較的湿潤な土壌表面に, 1~5mm 程度のひろがりをもつ不規則な円型または不整型のコロニーを形成し, しばしば, 他の地上藻は Oedocladium, Zygogoniumや蘚類の原糸体などと混生する. 2. 形態的には, 1次, 2次の直立糸, および細胞塊ならびに仮根より成るほふく糸より構成されている. 3. 生育環境とくに水分条件により, 2次直立糸の成長状態が異なり, 一般的に湿潤な場所に生育す...

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Published in植物学雑誌 Vol. 73; no. 867; pp. 365 - 368
Main Authors 秋山, 優, 広瀬, 弘幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本植物学会 1960
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Summary:本邦新産地上藻の1種である緑藻 Fritschiella tuberosa Iyengar の形態的ならびに生態的な形質について記載した. 1. 本藻の産状については, 主に水田のあぜ道など比較的湿潤な土壌表面に, 1~5mm 程度のひろがりをもつ不規則な円型または不整型のコロニーを形成し, しばしば, 他の地上藻は Oedocladium, Zygogoniumや蘚類の原糸体などと混生する. 2. 形態的には, 1次, 2次の直立糸, および細胞塊ならびに仮根より成るほふく糸より構成されている. 3. 生育環境とくに水分条件により, 2次直立糸の成長状態が異なり, 一般的に湿潤な場所に生育するものでは, 2次直立糸がいちじるしく発達している. 4. 本藻の分布については, これまでに, 山陰地方一帯ならびに北海道 (札幌) からの産出が認められているが, 本邦各地に, かなり広範に分布するものと推察する.
ISSN:0006-808X
2185-3835
DOI:10.15281/jplantres1887.73.365