第14回臨床不整脈研究会 Adenosine triphosphateの心房細動誘発作用

Adenosine triphosphate(ATP)は,上室性頻拍の停止や,心房細動(AF)アブレーション(CA)の際に起源同定のために用いられている.しかし,ATPのAF誘発頻度や意義は不明な点が多い.方法:発作性上室性頻拍のCAを施行した90例にATP(0.2~0.3mg/kg)を投与し,AFの誘発頻度を検討した.ATP単独でAFが誘発されない場合,isoproterenol(ISP)の投与下でATP投与を繰り返した.結果:発作性上室性頻拍の内訳は,房室リエントリ性頻拍54例,房室結節リエントリ性頻拍27例,心房頻拍7例で,全例でCAは成功した.ATP(平均0.23mg/kg)の投与で1...

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Published in心臓 Vol. 34; no. Supplement4; pp. 28 - 33
Main Authors 三好, 史人, 小林, 洋一, 渡辺, 則和, 箕浦, 慶乃, 勝又, 亮, 劉, 俊昌, 河村, 光晴, 安達, 太郎, 品川, 丈太郎, 神保, 芳宏, 小原, 千明, 宮田, 彰, 中川, 陽之, 丹野, 郁, 菊嶋, 修示, 馬場, 隆男, 片桐, 敬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2002
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Summary:Adenosine triphosphate(ATP)は,上室性頻拍の停止や,心房細動(AF)アブレーション(CA)の際に起源同定のために用いられている.しかし,ATPのAF誘発頻度や意義は不明な点が多い.方法:発作性上室性頻拍のCAを施行した90例にATP(0.2~0.3mg/kg)を投与し,AFの誘発頻度を検討した.ATP単独でAFが誘発されない場合,isoproterenol(ISP)の投与下でATP投与を繰り返した.結果:発作性上室性頻拍の内訳は,房室リエントリ性頻拍54例,房室結節リエントリ性頻拍27例,心房頻拍7例で,全例でCAは成功した.ATP(平均0.23mg/kg)の投与で1例(1.1%)にAFが誘発され,ISP投与下で新たに5例(6.7%)にAFが誘発された.計6例中1例にのみ過去のAF自然発作がみられた.AF出現時間はATP投与後平均18秒であった.AF発生群では,心房期外収縮(APC)のCoupling Interval(CI)と心房有効不応期(AERP)が有意に短かった.結語:APCのCI短縮とAERPの短縮が,AF発生に関連があると推測された.ATPで誘発されるAFの臨床的な意義は今後の検討が必要である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.34.Supplement4_28