第20回 臨床不整脈研究会 心耳を起源とする心房頻拍の2症例

左右おのおのの心耳を起源とする心房頻拍(AT)の症例を経験したので報告する. 症例1:29歳,男性.ATは持続性でP-P間隔は360ms,P波形は,I,II,III,aVF,V5,V6誘導で陽性,aVR,V1,V2,V3誘導で陰性.頻拍中の心内マッピングにて右心耳基部を最早期とするATと診断し,カテーテル焼灼術を施行したが効果は一過性であった.引き続きCARTOシステムを用いて右心耳を右房より電気的に隔離する焼灼を試みた.しかしながら,出力が上昇せず完全隔離はできなかった. 症例2:35歳,女性.ATはincessantでP-P間隔は480ms,P波形は,II,III,aVF,V1~V6誘導で...

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Published in心臓 Vol. 40; no. Supplement4; pp. 50 - 57
Main Authors 入江, 忠信, 万井, 弘基, 夛田, 浩, 後藤, 貢士, 岩本, 譲太郎, 大島, 茂, 田中, 泰章, 谷口, 興一, 内藤, 滋人, 横川, 美樹, 堀, 泰彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2008
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.40.Supplement4_50

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Summary:左右おのおのの心耳を起源とする心房頻拍(AT)の症例を経験したので報告する. 症例1:29歳,男性.ATは持続性でP-P間隔は360ms,P波形は,I,II,III,aVF,V5,V6誘導で陽性,aVR,V1,V2,V3誘導で陰性.頻拍中の心内マッピングにて右心耳基部を最早期とするATと診断し,カテーテル焼灼術を施行したが効果は一過性であった.引き続きCARTOシステムを用いて右心耳を右房より電気的に隔離する焼灼を試みた.しかしながら,出力が上昇せず完全隔離はできなかった. 症例2:35歳,女性.ATはincessantでP-P間隔は480ms,P波形は,II,III,aVF,V1~V6誘導で陽性,I,aVL,aVR誘導で陰性.左房内をCARTOシステムでマッピングし,左心耳内を最早期とするATと診断した.左心耳内で先端電極4mmのカテーテルで焼灼したが効果なく,8mmのカテーテルに変更したところ,出力・温度ともに上昇し,ATは停止,誘発も不可能となった. 結語:心耳起源のATの診断・治療において,CARTOシステムは有用であるが,高周波エネルギーの出力が不良のために焼灼が困難な症例では先端電極8mmのカテーテル,あるいはイリゲーションカテーテルが必要と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.40.Supplement4_50