肺癌(扁平上皮癌を除く)に対する気管・気管支形成術の意義(シンポジウムIII 肺癌(扁平上皮癌を除く)に対する気管気管支形成術の意義)

1962年から1989年迄に切除せる肺癌は全部で2,279例あり,気管支形成術を行った例が134例,気管分岐部切除が31例である.このうち扁平上皮癌732例を除く1,547例中,気管支形成術37例及び,気管分岐部切除15例についての手術成績から扁平上皮癌以外の症例に対する本術式の意義を検討した.気管支形成術を行った37例の5年生存率は14.1%で,このうち腺癌20例の予後は13.7%,3例の低悪性度の癌はいずれも長期生存している.一方,気管分岐部を切除せる15例は,腺様嚢胞癌6,腺癌3,大細胞癌2,腺扁平上皮癌2,大細胞癌と腺癌の重複癌1,悪性リンパ腫1であり,うち長期生存の得られているものは...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 呼吸器外科 Vol. 4; no. 6; pp. 725 - 728
Main Authors 末舛, 恵一, 近藤, 晴彦, 成毛, 韶夫, 呉屋, 朝幸, 土屋, 了介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 1990
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ISSN0917-4141
1884-1724
DOI10.2995/jacsurg1987.4.6_725

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Summary:1962年から1989年迄に切除せる肺癌は全部で2,279例あり,気管支形成術を行った例が134例,気管分岐部切除が31例である.このうち扁平上皮癌732例を除く1,547例中,気管支形成術37例及び,気管分岐部切除15例についての手術成績から扁平上皮癌以外の症例に対する本術式の意義を検討した.気管支形成術を行った37例の5年生存率は14.1%で,このうち腺癌20例の予後は13.7%,3例の低悪性度の癌はいずれも長期生存している.一方,気管分岐部を切除せる15例は,腺様嚢胞癌6,腺癌3,大細胞癌2,腺扁平上皮癌2,大細胞癌と腺癌の重複癌1,悪性リンパ腫1であり,うち長期生存の得られているものは腺様嚢胞癌のみであった.そして,この6例の低悪性度の癌を除く9例中,4例が院内死,2例が1年以内に死亡,2例が2年以内に再発,1例が術後2ヵ月生存である.以上のことから,扁平上皮癌を除く肺癌に対する気管・気管支形成術の適応は,腺様嚢胞癌,カルチノイド,粘表皮癌などの低悪性度の癌にあり,その他の癌に対する手術適応は病期,特にN因子を考慮した慎重な決定を要する.
ISSN:0917-4141
1884-1724
DOI:10.2995/jacsurg1987.4.6_725