第16回心臓性急死研究会 右冠動脈に高度狭窄を認めたBrugada症候群の1例

Brugada症候群に特徴的な心電図所見を有し,心室頻拍と心室細動が出現したものの,その成因が急性心筋虚血であった症例を報告する. 症例は62歳の男性.胸痛,めまいや失神の出現.突然死の家族歴.大腸癌の手術を目的に某総合病院に入院.麻酔導入,開腹直後に,II誘導でのモニター上でSTの上昇に続いて心室頻拍と心室細動が発生し,計11回のDCショックを含む90分に渡る蘇生術にて回復した.この間,リドカイン,Mg,パルテプラーゼとニコランジルが投与された.後日行われた冠動脈造影で,右冠動脈(AHA#1)に99%狭窄がみられた.12誘導心電図で,V1誘導にcoved型の,V2とV3誘導にsaddleba...

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Published in心臓 Vol. 36; no. Supplement3; pp. 87 - 91
Main Authors 阿部, 芳久, 門脇, 謙, 寺田, 健, 庄司, 亮, 熊谷, 肇, 佐藤, 匡也, 三浦, 傅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2004
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Summary:Brugada症候群に特徴的な心電図所見を有し,心室頻拍と心室細動が出現したものの,その成因が急性心筋虚血であった症例を報告する. 症例は62歳の男性.胸痛,めまいや失神の出現.突然死の家族歴.大腸癌の手術を目的に某総合病院に入院.麻酔導入,開腹直後に,II誘導でのモニター上でSTの上昇に続いて心室頻拍と心室細動が発生し,計11回のDCショックを含む90分に渡る蘇生術にて回復した.この間,リドカイン,Mg,パルテプラーゼとニコランジルが投与された.後日行われた冠動脈造影で,右冠動脈(AHA#1)に99%狭窄がみられた.12誘導心電図で,V1誘導にcoved型の,V2とV3誘導にsaddleback型のST上昇が認められたため,心室細動との因果関係の有無を調べるとともに,冠動脈治療の目的で当センターを紹介された. 右冠動脈の狭窄に対して,冠動脈形成術とステント植え込み術を行った.なお,壁運動異常は認められなかった.慢性期に,再狭窄や冠攣縮誘発がみられないことを確認した後に行ったピルジカイニド負荷では,II誘導でcoved型への変化とともに,最大0.22mVのST上昇が生じた.プログラム刺激では心室頻拍や心室細動は誘発されなかった. Brugada型心電図を有するということだけで,生じたイベントを特発性と判断すべきではなく,多角的な検討が必要であることを本症例は示している.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.36.Supplement3_87