第9回心臓性急死研究会 特徴的な発症様式を有する特発性心室細動の1例

症例は44歳男性.夜間就寝中に失神発作をきたし精査加療目的で入院した.安静時心電図ではII,III,aVF誘導で軽度のST上昇を認めた.器質的心疾患は除外され,冠動脈のスパスムは誘発されなかった.左室側壁付近由来の心室性期外収縮を契機に心室細動が発生した.アミオダロンの投与中に心室細動が出現し植え込み型除細動器(ICD)を装着した.ビソプロロールの投与中に心室細動の頻度が増加し,その中止後にも同様の頻度で心室細動が出現した.ICDを用いて測定した心室有効不応期が著明に短縮しており心室細動が常に夜間就寝中に出現したことから,不応期延長作用と抗コリン作用を合わせ持つジソピラミドを投与してからは7カ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 29; no. Supplement5; pp. 97 - 102
Main Authors 林, 秀樹, 藤木, 明, 谷, 昌尚, 碓井, 雅博, 水牧, 功一, 下野, 真由美, 井上, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1997
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は44歳男性.夜間就寝中に失神発作をきたし精査加療目的で入院した.安静時心電図ではII,III,aVF誘導で軽度のST上昇を認めた.器質的心疾患は除外され,冠動脈のスパスムは誘発されなかった.左室側壁付近由来の心室性期外収縮を契機に心室細動が発生した.アミオダロンの投与中に心室細動が出現し植え込み型除細動器(ICD)を装着した.ビソプロロールの投与中に心室細動の頻度が増加し,その中止後にも同様の頻度で心室細動が出現した.ICDを用いて測定した心室有効不応期が著明に短縮しており心室細動が常に夜間就寝中に出現したことから,不応期延長作用と抗コリン作用を合わせ持つジソピラミドを投与してからは7カ月間心室細動の発生を認めていない.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.29.Supplement5_97