第9回体表心臓微小電位研究会 加算平均心電図による急性白血病患児のAnthracycline系薬剤による急性および慢性心毒性の評価
白血病罹患児のanthracycline(ATC)系薬剤による急性・慢性心毒性を加算平均心電図(SAE)を用いて発症時より経時的に検討した.対象は2歳0カ月から17歳7カ月,男児6例,女児8例の計14例.ATC蓄積量は60~350mg/m2.SAE,心エコー,Holter心電図を用いて評価を行った.SAEはフクダ電子社製VCM3000を用い,Simsonらの方法により施行.f-QRSd,RMS,LASを測定した.当科での判定基準を用い,f-QRSd,RMS,LASの3項目中1項目以上陽性をSAE陽性と診断した.同時に,心エコー(左室駆出率:EF,左室収縮期壁ストレス/左室収縮末期容量係数:ES...
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Published in | 心臓 Vol. 32; no. Supplement1; pp. 29 - 33 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
25.02.2000
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.32.Supplement1_29 |
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Summary: | 白血病罹患児のanthracycline(ATC)系薬剤による急性・慢性心毒性を加算平均心電図(SAE)を用いて発症時より経時的に検討した.対象は2歳0カ月から17歳7カ月,男児6例,女児8例の計14例.ATC蓄積量は60~350mg/m2.SAE,心エコー,Holter心電図を用いて評価を行った.SAEはフクダ電子社製VCM3000を用い,Simsonらの方法により施行.f-QRSd,RMS,LASを測定した.当科での判定基準を用い,f-QRSd,RMS,LASの3項目中1項目以上陽性をSAE陽性と診断した.同時に,心エコー(左室駆出率:EF,左室収縮期壁ストレス/左室収縮末期容量係数:ESS/ESVI)およびHolter心電図(不整脈の有無,ST-T変化の有無,QTcの延長の有無)検査も施行し,SAEの所見と比較検討した. 急性心毒性については,SAEによる検討では蓄積量100mg/m2未満では14.3%,100以上200未満では55.6%,200以上300未満では60%,300以上では100%が陽性であった.一方,他の検討法ではすべて陰性であった.慢性心毒性については,ATC蓄積量が200mg/m2以上になると80%以上の症例で心毒性の存在が推察された.一方,他の検査においてはいずれも陰性であった. SAEはATCの蓄積量が少ない段階より急性および慢性心毒性の存在を評価することが可能であると思われた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.32.Supplement1_29 |