第13回 心臓核医学研究会 胸痛症候群におけるジピリダモール負荷心プールシンチグラフィーの意義

胸痛症候群(CPS)患者にジピリダモール負荷および運動負荷心プールシンチグラフィー(それぞれDP-RI,EX-RI)を施行し,その心機能の変化を冠動脈疾患(CAD)患者と比較検討した.対象はCPS 25例で,うち18例にDP-RIを,13例にEX-RIをfirst-pass法にて施行した.DP-RI,EX-RIともCAD(DP-RI:15例,EX-RI:12例)にも施行し,左室駆出分画(EF),左室最大充満速度(PFR),局所壁運動について比較検討した.その結果,DP-RIでは,EF,PFRは,両群とも負荷前後で有意差を認めず,EFの低下(5%以上)をCPS36%,CAD33%に,PFRの低下...

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Published in心臓 Vol. 25; no. Supplement1; pp. 82 - 89
Main Authors 斉藤, 巧, 鯵坂, 隆一, 山内, 孝義, 外山, 昌弘, 杉下, 靖郎, 武田, 徹, 石川, 演美, 板井, 悠二, 増岡, 健志, 渡辺, 重行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1993
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Summary:胸痛症候群(CPS)患者にジピリダモール負荷および運動負荷心プールシンチグラフィー(それぞれDP-RI,EX-RI)を施行し,その心機能の変化を冠動脈疾患(CAD)患者と比較検討した.対象はCPS 25例で,うち18例にDP-RIを,13例にEX-RIをfirst-pass法にて施行した.DP-RI,EX-RIともCAD(DP-RI:15例,EX-RI:12例)にも施行し,左室駆出分画(EF),左室最大充満速度(PFR),局所壁運動について比較検討した.その結果,DP-RIでは,EF,PFRは,両群とも負荷前後で有意差を認めず,EFの低下(5%以上)をCPS36%,CAD33%に,PFRの低下をCPS64%,CAD33%に,局所壁運動の増悪を,CPS64%,CAD40%の例に認めた.また以上のいずれかに異常を呈した頻度は,CPS78%,CAD80%であった.EX-RIではEF低下例は,CAD50%に対し,CPSでは8%にすぎず,局所壁運動異常も,CAD58%に対し,CPSでは認めなかった.またCPSにて,DP-RI,EX-RI両方を施行した6例では,DP-RIでの異常発現率は67%であったのに対し,EX-RIでは17%にすぎなかった.以上より,CPS患者に対しDP-RIを施行すると高率に心機能異常が発現し,その頻度はCADでは,DPRI,EX-RIで心機能異常の発現頻度に差を認めなかったのに対し,CPSではDP-RIでより高率に異常をきたす傾向を認めた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.25.Supplement1_82