第15回臨床不整脈研究会 運動誘発性心房頻拍の2例

当院で経験した運動誘発性心房頻拍の2症例を報告する. 症例1:61歳男性.健診を契機に発作性上室性頻拍を指摘された.運動にて心拍数約180/分の頻拍1と約130/分の頻拍2が出現した.頻拍1・2のP波は,下壁誘導でいずれも陰性であったが,頻拍1はその初期に陽性成分を認めた.運動により頻拍1ないし頻拍2が生じ,ときには頻拍1と2が交互に出現したり,頻拍1から2へと頻拍が移行した.EPSにて冠静脈洞入口部付近を起源とする心房頻拍と診断した. 症例2:数回の失神歴を有する16歳男性.運動や体動にて生じる頻拍は,モニター心電図上warm-up, cool-down現象がみられ,一時的には最大心拍数30...

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Published in心臓 Vol. 35; no. Supplement4; pp. 67 - 73
Main Authors 阿野, 正樹, 上山, 剛, 中村, 安真, 江里, 正弘, 大村, 昌人, 森谷, 浩四郎, 松崎, 益徳, 山縣, 俊彦, 清水, 昭彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2003
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.35.Supplement4_67

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Summary:当院で経験した運動誘発性心房頻拍の2症例を報告する. 症例1:61歳男性.健診を契機に発作性上室性頻拍を指摘された.運動にて心拍数約180/分の頻拍1と約130/分の頻拍2が出現した.頻拍1・2のP波は,下壁誘導でいずれも陰性であったが,頻拍1はその初期に陽性成分を認めた.運動により頻拍1ないし頻拍2が生じ,ときには頻拍1と2が交互に出現したり,頻拍1から2へと頻拍が移行した.EPSにて冠静脈洞入口部付近を起源とする心房頻拍と診断した. 症例2:数回の失神歴を有する16歳男性.運動や体動にて生じる頻拍は,モニター心電図上warm-up, cool-down現象がみられ,一時的には最大心拍数300/分に達した.β遮断薬内服加療が行われていたが,2002年7月に再び失神したためEPSを行った.ISPにて自動発生する心房頻拍の最早期心房興奮部位は僧帽弁輪側壁よりやや後方と考えられた. いずれもカテーテルアブレーションで根治に成功した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.35.Supplement4_67