第11回心臓性急死研究会 運動負荷開始直後のみに一過性陰性T波を呈する失神の1例

症例は48歳男性.主訴は突然死ニアミス(家人目撃).1997年8月下旬,帰宅後,子供とふざけあっている時に,痙攣を伴う失神発作を起こした.以前より,同様の症状で胸部不快感が起こっていたが放置していた.来院時身体所見,通常の検査,心エコー図に異常はなかった.Treadmill試験の運動開始1~2分にのみ補正QT間隔(QTc)延長を伴うT波の陰性化が見られた.電気生理学的検査では,単発早期刺激で多形性心室頻拍(PVT)が繰り返し誘発可能で,7~9秒で停止するものは入院前の自覚症状と一致した.運動負荷時のT波形変化は極めてまれな波形変化と考えられ,PVT発現性との関連を検討した.T波形変化時のみQT...

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Published in心臓 Vol. 31; no. Supplement4; pp. 65 - 71
Main Authors 中沢, 潔, 桝井, 良裕, 戸兵, 雄子, 松本, 直樹, 龍, 祥之助, 村山, 正博, 新井, まり子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1999
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.31.Supplement4_65

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Summary:症例は48歳男性.主訴は突然死ニアミス(家人目撃).1997年8月下旬,帰宅後,子供とふざけあっている時に,痙攣を伴う失神発作を起こした.以前より,同様の症状で胸部不快感が起こっていたが放置していた.来院時身体所見,通常の検査,心エコー図に異常はなかった.Treadmill試験の運動開始1~2分にのみ補正QT間隔(QTc)延長を伴うT波の陰性化が見られた.電気生理学的検査では,単発早期刺激で多形性心室頻拍(PVT)が繰り返し誘発可能で,7~9秒で停止するものは入院前の自覚症状と一致した.運動負荷時のT波形変化は極めてまれな波形変化と考えられ,PVT発現性との関連を検討した.T波形変化時のみQTc延長とQTcのdispersionの増加が見られ,PVT発現の基質となり得ると考えられた.QT延長症候群(LQTS)様の特徴が見られたが,不整脈誘発性や不整脈の形態は,LQTSとは異なっていた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.31.Supplement4_65