奈良県で2009/2010 および2010/2011 シーズンに検出した インフルエンザ(H1N1)2009 の臨床的検討

奈良県で2009 年25 週(6/15~6/21)から2011 年9 週(2/28~3/6)の間にインフルエンザ(H1N1)2009 を検出した894 例について臨床的情報に基づいた調査を実施した.調査期間を2009/2010 シーズン(2009 年25 週~2010 年9 週,645 例)と,2010/2011 シーズン(2010 年27 週~2011 年9 週,249 例)の2 シーズンに分けてシーズン間の比較も併せて行った. 検討の結果,2009/2010 シーズンの患者年齢層は0~9 歳が43%で最も多く,次いで10~19 歳が38%であった.2010/2011 シーズンは0~9 歳が...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 86; no. 5; pp. 577 - 581
Main Authors 米田, 正樹, 浦西, 洋輔, 岡山, 明子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 2012
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi.86.577

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Summary:奈良県で2009 年25 週(6/15~6/21)から2011 年9 週(2/28~3/6)の間にインフルエンザ(H1N1)2009 を検出した894 例について臨床的情報に基づいた調査を実施した.調査期間を2009/2010 シーズン(2009 年25 週~2010 年9 週,645 例)と,2010/2011 シーズン(2010 年27 週~2011 年9 週,249 例)の2 シーズンに分けてシーズン間の比較も併せて行った. 検討の結果,2009/2010 シーズンの患者年齢層は0~9 歳が43%で最も多く,次いで10~19 歳が38%であった.2010/2011 シーズンは0~9 歳が25%で最も多く,次いで10~19 歳が20%,20~29 歳が20%,30~ 39 歳が16%であった.患者年齢層は両シーズンとも0~10 代が最も高率であり,2010/2011 シーズンは0~ 10 代の患者比率が前シーズンに比べて減少し,20~30 代の患者比率が増加したことが明らかとなった.このことから奈良県内ではシーズン間での罹患年齢層の遷移(age shift)が示唆された.最も多く認められた症状は両シーズンとも発熱で,88%の患者に38℃以上の発熱が認められた.その他に上気道炎68%,下気道炎20%,胃腸炎(嘔吐,吐き気含む)が6%に認められた.シーズン別では下気道炎の罹患率が2009/2010 シーズンの20%から2010/2011 シーズンでは7%へと減少した.ノイラミニダーゼ阻害薬の処方が確認できた408 例の内訳は,オセルタミビルを処方された症例が262 例(63%)と最も多く,次いでザナミビル120 例(29%),ペラミビル10 例(2.4%),ラニナミビル12 例(2.9%)と続いた.また,このうち11 例は2 種の薬剤が併用されていた.オセルタミビルは10 代の患者に対する処方率が低く,抗インフルエンザ薬処方のガイドラインに沿った治療が行われていたことが明らかとなった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi.86.577