第17回心臓核医学研究会 AMIにおけるBMIPP心筋シンチグラム所見

虚血心筋ではエネルギー産生を好気的脂肪酸代謝から嫌気的糖代謝に移し,また虚血解除後viabilityを維持した心筋細胞では高度なATP産生低下,脂肪酸代謝障害が持続する.この状態ではTl集積の維持に対し脂肪酸の摂取は高度に低下し乖離現象を示す.このような現象の臨床的意義を急性心筋梗塞を対象にTlとBeta-methyl-p-iodophenyl-pentadecanoic acid(BMIPP)を用いて検討した.急性心筋梗塞ではBMIPP集積低下型乖離約50~60%,両者の集積がほぼ一致した非乖離型30~40%,Tl集積の低下が優位なTl集積低下型乖離3~10%観察された.非乖離型は両者の障害...

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Published in心臓 Vol. 29; no. Supplement1; pp. 22 - 28
Main Authors 中田, 智明, 橋本, 暁佳, 小林, 史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1997
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.29.Supplement1_22

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Summary:虚血心筋ではエネルギー産生を好気的脂肪酸代謝から嫌気的糖代謝に移し,また虚血解除後viabilityを維持した心筋細胞では高度なATP産生低下,脂肪酸代謝障害が持続する.この状態ではTl集積の維持に対し脂肪酸の摂取は高度に低下し乖離現象を示す.このような現象の臨床的意義を急性心筋梗塞を対象にTlとBeta-methyl-p-iodophenyl-pentadecanoic acid(BMIPP)を用いて検討した.急性心筋梗塞ではBMIPP集積低下型乖離約50~60%,両者の集積がほぼ一致した非乖離型30~40%,Tl集積の低下が優位なTl集積低下型乖離3~10%観察された.非乖離型は両者の障害が軽微な場合よりも高度な場合に多く認め,BMIPP低下型乖離と非乖離型では高度な狭窄病変や局所壁運動異常を高頻度に認めた.Tl集積低下型乖離では,冠動脈病変,壁運動異常との関係は乏しかった.BMIPP集積低下型乖離の程度は急性期再灌流療法例,残存Tl集積が高い例ほど顕著で,急性心筋梗塞発症後の左室駆出率,局所壁運動の改善度はdirect PTCA群では急性期の集積乖離の程度と有意に相関した.BMIPP集積の改善は発症後8カ月目まで認め,再灌流療法群でより顕著であった.このように,Tl/BMIPP集積の乖離現象を観察することは心筋viability,治療効果,虚血障害の評価,虚血リスク領域の把握,そして心機能改善予測に有用と推察された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.29.Supplement1_22