河川及び湖沼の水質及び魚介類中の有機スズ化合物類

河川及び湖沼の水質ならびに魚介類について, ブチルスズ及びフェニルスズ化合物の汚染状況を文献調査データにより明らかにするとともに, 河川及び湖沼に生息する魚介類についてTBT及びTPTの濃縮性ならびに汚染の評価を加えた。欧米諸国及び日本では, 防汚塗料においてTBT等の有機スズ化合物の使用規制を1982~1992年以降実施してきた。規制後のTBT濃度として, 例えば, スイスLake Lucerneの水質, 英国のLynher Riverのイガイ及び琵琶湖の魚類においては減少傾向を示していた。1998~1999年に実施された最近の調査データから, 日本の河川及び湖沼の水質におけるTBT濃度はカ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in環境化学 Vol. 15; no. 1; pp. 1 - 25
Main Authors 津田, 泰三, 加賀爪, 敏明
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本環境化学会 2005
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:河川及び湖沼の水質ならびに魚介類について, ブチルスズ及びフェニルスズ化合物の汚染状況を文献調査データにより明らかにするとともに, 河川及び湖沼に生息する魚介類についてTBT及びTPTの濃縮性ならびに汚染の評価を加えた。欧米諸国及び日本では, 防汚塗料においてTBT等の有機スズ化合物の使用規制を1982~1992年以降実施してきた。規制後のTBT濃度として, 例えば, スイスLake Lucerneの水質, 英国のLynher Riverのイガイ及び琵琶湖の魚類においては減少傾向を示していた。1998~1999年に実施された最近の調査データから, 日本の河川及び湖沼の水質におけるTBT濃度はカナダと大差なかったが, 中国においては汚染濃度の高い河川及び湖沼が一部で見られた。河川及び湖沼に生息する魚介類において, TBT及びTPTの汚染濃度は実験データから予測されるより高い値を示すことが多かった。Laboratory BCFとField BCFの比較から, 魚類についてはTBT及びTPTのいずれについても, また貝類 (イガイ) についてはTBTについて, Field BCFがLaboratory BCFと同程度もしくは大きい値を示すことが明らかとなった。魚類に関するこの差の要因の一つとして, Laboratory BCFが鰓経由を中心とした測定値であるのに対してField BCFには鰓経由と食餌経由の2つの濃縮経路があることが考えられる。
ISSN:0917-2408
1882-5818
DOI:10.5985/jec.15.1