放射線性喉頭壊死症例の検討

放射線治療は喉頭・下咽頭癌の治療において喉頭機能温存の点で優れた治療法だが,一方で重篤な局所障害を招く事があり喉頭壊死もその一つである。今回検討した喉頭壊死の発症頻度は2.9%で,臨床所見として咽喉頭粘膜浮腫・壊死,喉頭麻痺,皮膚潰瘍,嚥下障害が認められた。また壊死症例のうち88%が照射終了後18か月以内の発症で,喉頭壊死は晩期障害とはいえ比較的早期に発症する事を認識した。治療は保存的に治癒したのが38%,手術が必要だったのが63%で,壊死症例の喉頭温存率は63%であった。喉頭温存目的の放射線治療が,結果として喉頭機能を失わせる事もあり,今後この合併症をいかに減らすかが課題の一つと思われた。...

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Published in頭頸部外科 Vol. 20; no. 2; pp. 153 - 159
Main Authors 冨田, 吉信, 力丸, 文秀, 檜垣, 雄一郎, 松尾, 美央子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 30.10.2010
Subjects
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.20.153

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Summary:放射線治療は喉頭・下咽頭癌の治療において喉頭機能温存の点で優れた治療法だが,一方で重篤な局所障害を招く事があり喉頭壊死もその一つである。今回検討した喉頭壊死の発症頻度は2.9%で,臨床所見として咽喉頭粘膜浮腫・壊死,喉頭麻痺,皮膚潰瘍,嚥下障害が認められた。また壊死症例のうち88%が照射終了後18か月以内の発症で,喉頭壊死は晩期障害とはいえ比較的早期に発症する事を認識した。治療は保存的に治癒したのが38%,手術が必要だったのが63%で,壊死症例の喉頭温存率は63%であった。喉頭温存目的の放射線治療が,結果として喉頭機能を失わせる事もあり,今後この合併症をいかに減らすかが課題の一つと思われた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.20.153