抗HLA抗体による輸血関連急性肺障害 (Transfusion-Related Acute Lung Injury, TRALI) を発症した胃癌合併骨髄異形成症候群
輸血関連急性肺障害(transfusion-related acute lung injury, TRALI)は輸血開始後数時間以内に急性発症するadult respiratory distress syndrome(ARDS)様の病態で呼吸困難, 低酸素血症, 低血圧, 両側肺水腫などの所見を呈する疾患であり, 心不全や感染症などが鑑別疾患として考えられる1))2). TRALIは臨床医の認識不足により見逃されていると考えられており3), 我が国での報告例は少なく, 頻度も不明である4)5). 医療従事者の十分な認識と検査体制の充実が望まれている疾患である. 原因としてはドナーもしくは患者血...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 5; pp. 720 - 725 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
10.11.2004
日本輸血学会 |
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ISSN | 0546-1448 1883-8383 |
DOI | 10.3925/jjtc1958.50.720 |
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Summary: | 輸血関連急性肺障害(transfusion-related acute lung injury, TRALI)は輸血開始後数時間以内に急性発症するadult respiratory distress syndrome(ARDS)様の病態で呼吸困難, 低酸素血症, 低血圧, 両側肺水腫などの所見を呈する疾患であり, 心不全や感染症などが鑑別疾患として考えられる1))2). TRALIは臨床医の認識不足により見逃されていると考えられており3), 我が国での報告例は少なく, 頻度も不明である4)5). 医療従事者の十分な認識と検査体制の充実が望まれている疾患である. 原因としてはドナーもしくは患者血清中の抗HLA(human leukocyte antigen)抗体, 抗顆粒球抗体, 活性脂質の存在が考えられている1). また患者背景として血液悪性腫瘍や心疾患手術の重要性が指摘されている. 近年, 抗HLAクラスII抗体の関与が言われているが, 我が国では報告例は2例のみであり6), 検査が施行されていない例が多い. 今回我々は抗HLAクラスII抗体が関与したと思われる胃癌合併骨髄異形成症候群に発症した典型的なTRALI症例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0546-1448 1883-8383 |
DOI: | 10.3925/jjtc1958.50.720 |