肺胞タンパク症を合併した17歳女性の急性リンパ性白血病の1例

症例は初診時14歳の女性.1988年5月に急性白血病と診断された.ハイリスク症例であり, 初回寛解中の1989年12月に末梢血幹細胞移植術を施行され, 1990年3月に退院した.しかし, 同年6月に骨髄検査にて再発が確認された.再発後は, 強力な化学療法での再寛解は得られなかった.1991年1月, 突然, 高熱と咳漱が出現し, 胸部X線上で, 右下肺野に, 円形の浸潤影がみられた.様々な治療にかかわらず, 症状や血液所見は悪化し, 1991年3月に死亡した.剖検より肺胞タンパク症と肺梗塞が証明された.血液学的悪性腫瘍やその治療による免疫能異常状態が, 肺胞タンパク症をひきおこす一要因であると推...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 8; no. 2; pp. 123 - 128
Main Authors 佐山, 圭子, 森田, 豊彦, 松下, 竹次, 関口, 典子, ウエハラ, 真理, 内田, 寛, 江木, 晋三, 北林, 耐, 太田, 正康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 1994
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.8.123

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Summary:症例は初診時14歳の女性.1988年5月に急性白血病と診断された.ハイリスク症例であり, 初回寛解中の1989年12月に末梢血幹細胞移植術を施行され, 1990年3月に退院した.しかし, 同年6月に骨髄検査にて再発が確認された.再発後は, 強力な化学療法での再寛解は得られなかった.1991年1月, 突然, 高熱と咳漱が出現し, 胸部X線上で, 右下肺野に, 円形の浸潤影がみられた.様々な治療にかかわらず, 症状や血液所見は悪化し, 1991年3月に死亡した.剖検より肺胞タンパク症と肺梗塞が証明された.血液学的悪性腫瘍やその治療による免疫能異常状態が, 肺胞タンパク症をひきおこす一要因であると推測されている.文献上, 血液学的悪性腫瘍患者の肺胞タンパク症合併は散見されるが, 小児科領域では極めてまれなので, 若干の考察を加えて報告する.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.8.123