自然発症糖尿病 (GK: 後藤-柿崎) ラットにおける実験的歯周炎
本研究の目的は, ヒトのインシュリン非依存型糖尿病の病態に近い自然発症糖尿病 (GK) ラットを用い, 糖尿病群 (1群) と非糖尿病群 (2群) で惹起させた実験的歯周炎を比較することである。動物はナイロン糸挿入後5週までにブドウ糖負荷試験を行い, 6, 8週で屠殺し, 病理組織学的および組織形態計測学的に検索した。その結果, 血糖値は空腹時, ブドウ糖負荷後のいずれの時間においても, 1群が有意に高値であった。病理組織学的所見では, 両群間に著明な違いは認められなかった。さらに, 歯槽骨長比の計測の結果, 両群とも経時的に歯槽骨吸収の進行所見を示していたが, 6, 8週での両群間で有意差は...
Saved in:
Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 34; no. 1; pp. 114 - 124 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
1992
日本歯周病学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0385-0110 1880-408X |
DOI | 10.2329/perio.34.114 |
Cover
Summary: | 本研究の目的は, ヒトのインシュリン非依存型糖尿病の病態に近い自然発症糖尿病 (GK) ラットを用い, 糖尿病群 (1群) と非糖尿病群 (2群) で惹起させた実験的歯周炎を比較することである。動物はナイロン糸挿入後5週までにブドウ糖負荷試験を行い, 6, 8週で屠殺し, 病理組織学的および組織形態計測学的に検索した。その結果, 血糖値は空腹時, ブドウ糖負荷後のいずれの時間においても, 1群が有意に高値であった。病理組織学的所見では, 両群間に著明な違いは認められなかった。さらに, 歯槽骨長比の計測の結果, 両群とも経時的に歯槽骨吸収の進行所見を示していたが, 6, 8週での両群間で有意差は認められなかった。以上の実験結果だけでは, 歯周病の病因としての糖尿病の役割は明らかにされなかったが, 今後は種々の因子を変化させながら, より詳細な検討を行う予定である。 |
---|---|
ISSN: | 0385-0110 1880-408X |
DOI: | 10.2329/perio.34.114 |