小児の下顎安静位の三次元解析について

アンプリチュードヒストグラムの原理を利用した機能的な下顎安静位決定法により, 乳歯列期小児における下顎安静位を求め, その三次元解析を行った.本研究の目的は, 下顎安静位の変化を通して神経筋機構の発達を理解することである.被験者は臨床的正常咬合を有する乳歯列期小児18名 (3歳6名, 4歳6名, 5歳6名) である.結果は次の通りである. 1.垂直成分 3歳ではほとんどの被験者が大きな安静位空隙量を示したが, 増齢に伴い安静位空隙量が小さくなり下顎安静位は中心咬合位に近づいてきた.また, 下顎安静位の上下的なばらつきが小さくなった. 2.左右成分 3歳では正中周囲にばらついていた下顎安静位が増...

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Published in日本顎口腔機能学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 43 - 51
Main Authors 齋藤, 亮, 三輪, 全三, 飯島, 英世, 高木, 裕三, 田中, 光郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎口腔機能学会 25.12.2003
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Summary:アンプリチュードヒストグラムの原理を利用した機能的な下顎安静位決定法により, 乳歯列期小児における下顎安静位を求め, その三次元解析を行った.本研究の目的は, 下顎安静位の変化を通して神経筋機構の発達を理解することである.被験者は臨床的正常咬合を有する乳歯列期小児18名 (3歳6名, 4歳6名, 5歳6名) である.結果は次の通りである. 1.垂直成分 3歳ではほとんどの被験者が大きな安静位空隙量を示したが, 増齢に伴い安静位空隙量が小さくなり下顎安静位は中心咬合位に近づいてきた.また, 下顎安静位の上下的なばらつきが小さくなった. 2.左右成分 3歳では正中周囲にばらついていた下顎安静位が増齢に伴い正中付近に収束する傾向が認められた. 3.前後成分 3歳では前後方向にばらついていた下顎安静位が増齢に伴い中心咬合位の直下に収束する傾向が認められた. したがって, 下顎安静位が増齢に伴い垂直的・左右的・前後的にある範囲に収束することが分かった. 以上から, 乳歯列期小児の下顎安静位の三次元的年齢変化は神経筋機構の発達の影響を受けていることが示唆された.
ISSN:1340-9085
1883-986X
DOI:10.7144/sgf.10.43