急性リンパ性白血病の寛解導入中に発症した消化管穿孔の1例

寛解導入療法中に上行結腸に多発性穿孔をきたした急性リンパ性白血病 (FAB分類, L2) 2歳男児例を報告した.第15病日より発熱と腹痛が出現した.末梢血中の顆粒球は0/μlであったが, 筋性防御は認めなかった.第22病日より腹水の貯留を認め, 第24病日には次第に右下腹部に圧痛が限局してきたため緊急開腹術を施行した.上行結腸に多発性の潰瘍と穿孔を認め, 回盲部上行結腸切除術, 回腸痩・横行結腸痩増設術を施行した.病理所見は, 腸管の粘膜および粘膜下層の浮腫, 炎症細胞の浸潤と壊死を認めたが, 明らかな白血病細胞浸潤は認めなかった.術後, 寛解導入療法を再開し現在再発なく維持療法中である....

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 8; no. 5; pp. 437 - 441
Main Authors 川上, 清, 重森, 雅彦, 宮田, 晃一郎, 北原, 琢磨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 1994
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.8.437

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Summary:寛解導入療法中に上行結腸に多発性穿孔をきたした急性リンパ性白血病 (FAB分類, L2) 2歳男児例を報告した.第15病日より発熱と腹痛が出現した.末梢血中の顆粒球は0/μlであったが, 筋性防御は認めなかった.第22病日より腹水の貯留を認め, 第24病日には次第に右下腹部に圧痛が限局してきたため緊急開腹術を施行した.上行結腸に多発性の潰瘍と穿孔を認め, 回盲部上行結腸切除術, 回腸痩・横行結腸痩増設術を施行した.病理所見は, 腸管の粘膜および粘膜下層の浮腫, 炎症細胞の浸潤と壊死を認めたが, 明らかな白血病細胞浸潤は認めなかった.術後, 寛解導入療法を再開し現在再発なく維持療法中である.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.8.437