陽極train刺激による心室筋興奮のsummationとinhibition: 強さ・時間曲線との関係

麻酔開胸イヌで陽極のtrain刺激による心室筋興奮のsummationとinhibitionについて検討した.刺激の出力は低電流 (閾値の2倍) と高電流 (15mA) とし, 心室不応期 (ERP) を測定し, 単一刺激による強さ・時間 (S-I) 曲線も検討した.陽極刺激のS-I曲線には12頭全例でdipが存在した.高電流刺激では全例にsummation (単一刺激に比べてERPが短縮する現象) を認め, 低電流刺激でも陰極刺激とは異なり92%にsummationが認められた.S-I曲線のdipに影響するリドカイン (70~140μg/kg/分) は, summationの程度に影響を与え...

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Published in心電図 Vol. 11; no. 1; pp. 28 - 34
Main Authors 戸田, 為久, 栽原, 伸一郎, 杉本, 恒明, 碓井, 雅博, 井上, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 1991
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.11.28

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Summary:麻酔開胸イヌで陽極のtrain刺激による心室筋興奮のsummationとinhibitionについて検討した.刺激の出力は低電流 (閾値の2倍) と高電流 (15mA) とし, 心室不応期 (ERP) を測定し, 単一刺激による強さ・時間 (S-I) 曲線も検討した.陽極刺激のS-I曲線には12頭全例でdipが存在した.高電流刺激では全例にsummation (単一刺激に比べてERPが短縮する現象) を認め, 低電流刺激でも陰極刺激とは異なり92%にsummationが認められた.S-I曲線のdipに影響するリドカイン (70~140μg/kg/分) は, summationの程度に影響を与えなかった.低電流刺激ではsummationの他, 12頭中25%にinhibitionが認められたが, S-I曲線のdipの閾値がtrain刺激の出力より高い3頭中2頭でinhibitionを認めた.リドカインによりS-I曲線が右上方に移動するとinhibitionの出現率は増加した (25%と80%, p<0.05) .陽極train刺激では陰極の場合と異なる反応を示し, 陽極刺激によるsummationとinhibitionはS-I曲線のdipの影響を受ける.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.11.28