がん化学療法における医療過誤予防へのFailure Mode and Effects Analysis (FMEA) の応用

「緒言」近年, 医療における患者の安全確保が極めて重要な問題となっており, 医療事故への対策は世界共通の課題となっている. しかしながら, 事故の報告は後を絶たず, その原因のひとつとして医療過誤に関する科学的な分析, 明確な目標設定, 根拠に基づく安全対策の実施など, 具体的な対応と結果に対する評価が不十分であることが挙げられる. 医療事故の中でも医薬品が関連する事故は発生頻度が高く1, 2), 特に抗がん剤に関しては新薬の開発や新規レジメンの臨床試験に伴って, 投与量や投与間隔, 併用薬剤の設定が複雑化しており, 細胞毒性を有する抗がん剤を全身状態の低下したがん患者に誤投与すれば, 重篤な...

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Published in医療薬学 Vol. 32; no. 10; pp. 1050 - 1058
Main Authors 松永, 尚, 土肥, 佐和子, 齋田, 哲也, 末岡, 榮三朗, 平野, 和裕, 林, 真一郎, 江本, 晶子, 藤戸, 博, 持永, 早希子, 末岡, 尚子, 田崎, 正信, 佐藤, 清治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.10.2006
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.32.1050

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Summary:「緒言」近年, 医療における患者の安全確保が極めて重要な問題となっており, 医療事故への対策は世界共通の課題となっている. しかしながら, 事故の報告は後を絶たず, その原因のひとつとして医療過誤に関する科学的な分析, 明確な目標設定, 根拠に基づく安全対策の実施など, 具体的な対応と結果に対する評価が不十分であることが挙げられる. 医療事故の中でも医薬品が関連する事故は発生頻度が高く1, 2), 特に抗がん剤に関しては新薬の開発や新規レジメンの臨床試験に伴って, 投与量や投与間隔, 併用薬剤の設定が複雑化しており, 細胞毒性を有する抗がん剤を全身状態の低下したがん患者に誤投与すれば, 重篤な経過をたどる危険性が極めて高い. したがって, がん化学療法の危機管理においては, 事前に起こりうる過誤を可能な限り予測し, 未然に予防する対策を積極的に立てていくことが重要である.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.32.1050