14 放射化学

放射性同位元素(以後RIとかく)を用いた実験ではすべてまず分離し,つぎに測定試料調製および測定技術が必要である.これはよくassayとよばれる.放射線の種類,エネルーギーの差違によるためでこの試料調製,測定技術が正しくないと正確な結果をうることはのぞめない. 分離法についてはすでに総説があるのでこの点についてはふれず,上記の見地からのみ55,56,57年の研究から試料調製,測定技術の参考になるものをながめることにし純放射化学的なものは割愛した. 放射化分析は比較的近年,とくに原子炉の出現以来急速な発展を見た分析法で,ある種の元素に対して特に高感度が得られるため,超微量分析の分野で偉力を発揮しつ...

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Published in分析化学 Vol. 7; no. 13; pp. 68 - 76
Main Authors 浜口, 博, 村上, 悠紀雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 1958
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Summary:放射性同位元素(以後RIとかく)を用いた実験ではすべてまず分離し,つぎに測定試料調製および測定技術が必要である.これはよくassayとよばれる.放射線の種類,エネルーギーの差違によるためでこの試料調製,測定技術が正しくないと正確な結果をうることはのぞめない. 分離法についてはすでに総説があるのでこの点についてはふれず,上記の見地からのみ55,56,57年の研究から試料調製,測定技術の参考になるものをながめることにし純放射化学的なものは割愛した. 放射化分析は比較的近年,とくに原子炉の出現以来急速な発展を見た分析法で,ある種の元素に対して特に高感度が得られるため,超微量分析の分野で偉力を発揮しつつある.その原理,感度,利点と欠点などについてはいくつかの総説がある.ジユネーブ会議の報告にはSmales, Jakovlevによるこの分野の現況報告がある.最近2つのすぐれた総説が出た.1つはJenkins, Smales(文献72およびいくつかの一覧表)により,他はLoveridge, Smales(文献118)によるもので生化学への放射化分析の応用を論じている.Jakovlevはジユネーブ報告の継続として高純度金属中の不純物の定量を論じている.Morrison, Plumbは金属試料中の微量成分の定量に伴なう問題点と操作を論じた.その他の総説としてはオークリツジ研究所からのもの,単行本,邦文のものなどがある.Odebladは荷電粒子による放射化分析を総説した. 放射化分析の感度については上記の総説のいくつかに表が含まれているが,最近の熱中性子断面積値と生成核種の半減期との関係をプロットした図,半減期の順にならべた有用な表が提出された.Mellishらは速中性子による(n,p),(n,α)反応による放射化分析を論じた.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.7.13_68