骨盤領域に放射線療法を受けた女性がん患者のセクシュアリティに関わる体験と対処行動

目的:骨盤領域に放射線療法を受けた女性患者のセクシュアリティに関わる体験と対処行動を明らかにすることである.方法:子宮頸がん6名,肛門がん3名の9名の女性がん患者に対し,セクシュアリティに関わる生活上での体験と対処行動について,半構造化面接を行い,質的帰納的に分析した.結果:骨盤領域に放射線療法を受けた女性がん患者のセクシュアリティに関わる体験は【治療中から数年に渡り,膣,腸,膀胱の粘膜障害による苦痛がある】【下半身が治療によって変わってしまい治療後の裸は見られたくない】【治療後は膣の痛みや出血のため性交渉をしたいという気持ちにならない】【子供が産めない身体になったのだと自覚する】などの6カテ...

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Published in日本がん看護学会誌 Vol. 34; p. 34_kubo_20200617
Main Authors 久保, 知, 西脇, 可織
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本がん看護学会 17.06.2020
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Summary:目的:骨盤領域に放射線療法を受けた女性患者のセクシュアリティに関わる体験と対処行動を明らかにすることである.方法:子宮頸がん6名,肛門がん3名の9名の女性がん患者に対し,セクシュアリティに関わる生活上での体験と対処行動について,半構造化面接を行い,質的帰納的に分析した.結果:骨盤領域に放射線療法を受けた女性がん患者のセクシュアリティに関わる体験は【治療中から数年に渡り,膣,腸,膀胱の粘膜障害による苦痛がある】【下半身が治療によって変わってしまい治療後の裸は見られたくない】【治療後は膣の痛みや出血のため性交渉をしたいという気持ちにならない】【子供が産めない身体になったのだと自覚する】などの6カテゴリーが抽出された.この体験に対し,【治療中から治療後,照射部位のケア方法の指導を受けて放射線の影響を最小限にする】【陰毛の脱毛やお尻やお腹が黒くなるのは仕方がないと思うようにする】【役目を果たすために自分の身体より家族のことを優先する】などの5カテゴリーの対処行動が抽出された.考察:照射による有害事象が骨盤領域に放射線療法を受けた女性がん患者のボディイメージや周囲の人々との関係性に影響を与えていた.看護師は,外観からは分かりにくい患者の体験を理解し,有害事象の出現時期に応じた情報提供とセルフケアを支援する重要性が示唆された.
ISSN:0914-6423
2189-7565
DOI:10.18906/jjscn.34_kubo_20200617