アルミナの焼結に対する希土類酸化物添加の影響

アルミナの焼結に対する希土類酸化物 (Y2O3, La2O3, Sm2O3, Er2O3) 添加の影響を, 収縮率の測定や微構造の観察から検討した. いずれの希土類酸化物も1500℃までの昇温過程ではち密化を阻害するが, 1500℃で保持した場合には, Sm2O3とEr2O3は焼結を促進し, Y2O3とLa2O3は焼結を妨げた. また, 1700℃以上の焼成温度ではいずれの希土類酸化物もアルミナのち密化を促進し, 特にEr2O3を添加した場合が最も高密度の焼結体が得られた. このアルミナ-希土類酸化物系の素地では低温度で液相を生成することもなく, 一般に固溶もしなかったため, アルミナ希土類酸...

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Published in窯業協會誌 Vol. 87; no. 1012; pp. 632 - 641
Main Authors 浜野, 健也, 太田, 滋俊, 尾崎, 義治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本セラミックス協会 1979
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Summary:アルミナの焼結に対する希土類酸化物 (Y2O3, La2O3, Sm2O3, Er2O3) 添加の影響を, 収縮率の測定や微構造の観察から検討した. いずれの希土類酸化物も1500℃までの昇温過程ではち密化を阻害するが, 1500℃で保持した場合には, Sm2O3とEr2O3は焼結を促進し, Y2O3とLa2O3は焼結を妨げた. また, 1700℃以上の焼成温度ではいずれの希土類酸化物もアルミナのち密化を促進し, 特にEr2O3を添加した場合が最も高密度の焼結体が得られた. このアルミナ-希土類酸化物系の素地では低温度で液相を生成することもなく, 一般に固溶もしなかったため, アルミナ希土類酸化物との反応性, 焼成中の複酸化物の生成に伴うイオン拡散や体積変化, 第2相としてコランダム粒子間に存在する状態などがち密化に影響を与える要因となっているものと考えられた. いずれの添加試料もアルミナと複酸化物との共融温度より50°-100℃低い温度で焼成した場合には, 異常粒子成長が観察された. また共融温度以上で焼成した場合には, 生成した液相とコランダム粒子とのぬれ性の差により, 組織に大きな影響を与えることが分った.
ISSN:0009-0255
1884-2127
DOI:10.2109/jcersj1950.87.1012_632