Helicobacter pyloriに対する抗潰瘍薬と抗菌薬のin vitroの併用効果

「緒言」胃十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍の患者において, Helicobacter pyloriを除菌することで難治性潰瘍が治癒したり, 潰瘍の再発率が明らかに低下することが報告されている1-3). 1992年2月に米国で開催されたNational Institute of Health(NIH)の消化性潰瘍とH. pyloriに関する学会において, すべてのH. pylori感染潰瘍患者は初回あるいは再発にかかわらず, 胃酸分泌抑制剤に加え抗菌薬の治療が必要であるという統一見解が公表された4). このことを契機として, わが国においても種々の除菌療法が検討されている. 現在のH. pylori...

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Published in病院薬学 Vol. 24; no. 1; pp. 39 - 43
Main Authors 松本, 有右, 藤井, 友紀子, 河合, 隆, 西里, 吉則, 朝長, 文彌, 濱島, 肇, 笹津, 備規, 新井, 武利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療薬学会 1998
日本病院薬学会
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Summary:「緒言」胃十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍の患者において, Helicobacter pyloriを除菌することで難治性潰瘍が治癒したり, 潰瘍の再発率が明らかに低下することが報告されている1-3). 1992年2月に米国で開催されたNational Institute of Health(NIH)の消化性潰瘍とH. pyloriに関する学会において, すべてのH. pylori感染潰瘍患者は初回あるいは再発にかかわらず, 胃酸分泌抑制剤に加え抗菌薬の治療が必要であるという統一見解が公表された4). このことを契機として, わが国においても種々の除菌療法が検討されている. 現在のH. pyloriに対する除菌療法は, 抗菌薬の単剤による除菌療法ではその効果が不十分なこともあり5), 抗菌薬と酸分泌抑制剤を組み合わせた2剤あるいは3剤の除菌療法が行われている6-8). 一方, H. pyloriの除菌療法に用いる抗菌薬は, H. pyloriに対する薬剤感受性を十分考慮して選択されているが, 酸分泌抑制剤の中には抗菌作用があるものもあり, 複数の薬剤による併用効果の検討は少ない9, 10). そこで, H. pyloriの除菌療法で汎用されている抗菌薬と併用されている酸分泌抑制剤や粘膜保護剤のin vitroにおける併用効果を検討した. 実験材料ならびに方法 1. 使用菌株 標準株としてHelicobacter pylori ATCC43504株およびATCC43629株の2株を使用した. これらの標準株はAmerican Type Culture Collection(ATCC)より直接分譲されたものである. また, 臨床分離株として十二指腸潰瘍胃潰瘍併発患者由来株2株, 胃潰瘍患者由来株2株, 十二指腸潰瘍患者由来株2株を使用した.
ISSN:0389-9098
2185-9477
DOI:10.5649/jjphcs1975.24.39