改良型フェニトイン製剤に変更した患者における投与量と血中濃度に関する検討 変更時に投与量を減量後, 維持可能であった症例と増量を必要とした症例の比較

「緒言」抗てんかん薬であるフェニトイン(PHT)は有効血中濃度範囲が狭く, 投与量と血中濃度の関係が非線形で表され, 僅かな投与量の変動が血中濃度に大きく影響し, 効果が減弱したり, 中毒症状が発現しやすい薬物である1). また剤形によって吸収が異なることが報告2-4)されており, 賦形剤や剤形を変更したことによって中毒が発現した例も認められている4, 5). 当院でもフェニトイン末(アレビアチン, 大日本製薬(株))を原料とした10倍散(PHT10)を院内製剤として調製していたが, 厚生省薬務局, 医薬品再評価結果3)に基づき, 吸収性が改良された10倍散(アレビアチン10倍散, 大日本製薬...

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Published in病院薬学 Vol. 24; no. 6; pp. 737 - 744
Main Authors 小嶋, 文良, 豊口, 禎子, 仲川, 義人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療薬学会 1998
日本病院薬学会
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Summary:「緒言」抗てんかん薬であるフェニトイン(PHT)は有効血中濃度範囲が狭く, 投与量と血中濃度の関係が非線形で表され, 僅かな投与量の変動が血中濃度に大きく影響し, 効果が減弱したり, 中毒症状が発現しやすい薬物である1). また剤形によって吸収が異なることが報告2-4)されており, 賦形剤や剤形を変更したことによって中毒が発現した例も認められている4, 5). 当院でもフェニトイン末(アレビアチン, 大日本製薬(株))を原料とした10倍散(PHT10)を院内製剤として調製していたが, 厚生省薬務局, 医薬品再評価結果3)に基づき, 吸収性が改良された10倍散(アレビアチン10倍散, 大日本製薬(株), ALV10)への切り替えを行った. その際, 急激な血中濃度の変化にともなう薬効および副作用への影響を十分に考慮した投与量の減量を行う必要がある6-10). 当院では製剤変更時の減量方法の報告6-10)より, Yukawa7), 末松9)らの吸収率の予測を基にした大日本製薬(株)提供の換算表を一部修正し, 全診療科ならびに全処方医にその情報を配布するとともに, 口頭と電子メールにて情報提供の徹底に努めた. しかし, PHTは先に述べたように, 投与量と血中濃度の関係が非線形で表されるのみならず, 個人によって変動が大きいため1), 投与量を減じても副作用が発現する可能性や, 用量不足により症状が悪化した例も報告されている8). 当院でも今回の製剤変更に伴い, 投与量の減量を行った症例の中で, その後, ALV10の増量が必要となった症例が認められた. そこで, 今回の変更に伴って行われたPHTの処方量と血中濃度の変化, 加えてその後の処方量の変更の有無と血中濃度について調査を行うとともに, 減量後に, そのまま維持できた症例と増量を必要とした症例の比較を行い, PHTの製剤変更時の注意点について考察を行った.
ISSN:0389-9098
2185-9477
DOI:10.5649/jjphcs1975.24.737