貯血式自己血輸血における遺伝子組換えヒトエリスロポエチン (r-HuEPO) の投与法とその効果

近年, 同種血輸血に伴うウイルス感染症(HIV・HTLV-I・HBV・HCVなど), 移植片対宿主病(GVHD)などの副作用に関心が高まり, これらは発症頻度は低いものの発症すると有効な治療法がないため, これらを避けるために最も安全な自己血輸血が普及してきている1). 自己血輸血法には, (1)貯血式(液状保存と凍結保存), (2)希釈式, (3)回収式の3方法がある. 液状保存の貯血式自己血輸血は4℃の保冷庫と採血バッグがあればどこでも行える最も簡便な方法であるが, CPD保存液の場合, 保存期間が21日間と短く, この期間では貧血の進行のため必要十分量の貯血ができないことが欠点であった....

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 41; no. 6; pp. 605 - 611
Main Authors 人見, 祐子, 前田, 平生, 平田, 蘭子, 遠山, 博, 都築, 暢之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1995
日本輸血学会
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Summary:近年, 同種血輸血に伴うウイルス感染症(HIV・HTLV-I・HBV・HCVなど), 移植片対宿主病(GVHD)などの副作用に関心が高まり, これらは発症頻度は低いものの発症すると有効な治療法がないため, これらを避けるために最も安全な自己血輸血が普及してきている1). 自己血輸血法には, (1)貯血式(液状保存と凍結保存), (2)希釈式, (3)回収式の3方法がある. 液状保存の貯血式自己血輸血は4℃の保冷庫と採血バッグがあればどこでも行える最も簡便な方法であるが, CPD保存液の場合, 保存期間が21日間と短く, この期間では貧血の進行のため必要十分量の貯血ができないことが欠点であった. これに対して, 遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(r-HuEPO)を使用して短期間に造血を亢進させ, 採血に伴う貧血の進行をできる限り抑える自己血貯血方法が試みられている2)~5). 本稿では主に当院整形外科待期手術患者に行われた1,200ml貯血における, r-HuEPOの効果を静注法と皮下注法に分けて検討する.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.41.605