特発性心筋症のベクトル心電図―Ventricular gradientを中心として

16例の拡張型心筋症 (DCM) , 14例の非閉塞性肥大型心筋症 (HCM) , 6例の閉塞性肥大型心筋症 (HOCM) : および10例の対照群のベクトル心電図をVentricular gradientを中心に比較検討した。DCM群は, 大きく, 最も後方および上方へ偏ったQRS面積ベクトル (A qrs) , 最も小さく, 前上方へ偏ったT面積ベクトル (At) および最も小さく, 後上方へ偏ったventricular gradient (G) をもっていた。HCM群は大きく, 左後上方へ偏ったA qrs, 大きく, 右上方へ偏ったA t および小さく, 右前方へ偏ったGをもっていた。H...

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Published in心電図 Vol. 4; no. 6; pp. 683 - 689
Main Authors 河北, 成一, 川口, 義広, 吉川, 真由美, 本村, 正一, 五十川, 静男, 福原, 武久, 木之下, 正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 01.11.1984
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.4.683

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Summary:16例の拡張型心筋症 (DCM) , 14例の非閉塞性肥大型心筋症 (HCM) , 6例の閉塞性肥大型心筋症 (HOCM) : および10例の対照群のベクトル心電図をVentricular gradientを中心に比較検討した。DCM群は, 大きく, 最も後方および上方へ偏ったQRS面積ベクトル (A qrs) , 最も小さく, 前上方へ偏ったT面積ベクトル (At) および最も小さく, 後上方へ偏ったventricular gradient (G) をもっていた。HCM群は大きく, 左後上方へ偏ったA qrs, 大きく, 右上方へ偏ったA t および小さく, 右前方へ偏ったGをもっていた。HOCM群は, 最も大きく, 左後方へ偏ったA qrs, 右方へ偏ったA tおよび小さく, 右前方へ偏ったGをもっていた。空間最大Rベクトル (max R) はDCM群では対照群と差がなく, HCM群およびHOCM群では大きくなっていたが方向は3群すべてで対照群より左後方へ偏っていた。以上の事実よりDCM群においては伝導障害による左室伝導遅延の影響が主として表われ, HCM群およびHOCM群においては心尖および左室側壁の肥厚の影響が主として表われていると考えられた。
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.4.683