後脊髄動脈領域の梗塞により同側のonion-skin patternの顔面感覚の異常と上肢の深部感覚障害を来した1例

後脊髄動脈領域の梗塞は脊髄梗塞の中でも稀であり,延髄下部から上位頚髄の背側領域の障害を来すことがある.延髄下部では三叉神経脊髄路核と楔状束は解剖学的に近接しているが,今回後脊髄動脈領域の梗塞により両部位が障害され,特異的な感覚障害を呈した症例を経験した.症例は74歳,男性.突然の上肢優位の左上下肢の深部感覚障害とonion-skin patternの左顔面感覚障害を呈した.MRIで延髄下部から上位頚髄の梗塞を認め,MRAとCT-angiographyの所見から左椎骨動脈解離が疑われた.体性感覚誘発電位で左後索障害を示す所見を認めた.アスピリンの内服とリハビリテーションを継続し,発症3カ月後には...

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Published in脳卒中 p. 11252
Main Authors 芦崎, 太一朗, 十河, 正弥, 坂東, 美樹, 橋本, 黎, 的場, 健人, 古東, 秀介, 千原, 典夫, 関口, 兼司, 松本, 理器
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2024
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Summary:後脊髄動脈領域の梗塞は脊髄梗塞の中でも稀であり,延髄下部から上位頚髄の背側領域の障害を来すことがある.延髄下部では三叉神経脊髄路核と楔状束は解剖学的に近接しているが,今回後脊髄動脈領域の梗塞により両部位が障害され,特異的な感覚障害を呈した症例を経験した.症例は74歳,男性.突然の上肢優位の左上下肢の深部感覚障害とonion-skin patternの左顔面感覚障害を呈した.MRIで延髄下部から上位頚髄の梗塞を認め,MRAとCT-angiographyの所見から左椎骨動脈解離が疑われた.体性感覚誘発電位で左後索障害を示す所見を認めた.アスピリンの内服とリハビリテーションを継続し,発症3カ月後には左上肢の深部感覚障害と左顔面の感覚障害の改善を認めた.顔面の異常感覚と同側の上肢の深部感覚障害は,延髄下部から上位頚髄の病変で起こり,通常の頭部MRI撮影で見逃しやすい部位であり,注意が必要である.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11252