電子定在波とフリーデル振動 (解説)
金属中に不純物などの欠陥を導入すると,その周囲の自由電子は欠陥によるポテンシャルから影響を受け,その波動性に起因した変調構造を誘起する.自由電子の状態密度分布に現れるこの変調構造は,電子定在波あるいは準粒子干渉パターンと呼ばれる.一方,自由電子の感ずる静電ポテンシャル分布やその密度分布に現れる変調構造がフリーデル振動である.本解説では,走査トンネル顕微鏡/分光(STM/S)によるそれら変調構造の実空間観察について紹介し,最近注目されるトポロジカル絶縁体表面などラシュバ効果等による特異なスピン構造を持つ表面での電子定在波の観察や,混同されやすい2つの振動構造の差異について言及する....
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Published in | 日本物理学会誌 Vol. 67; no. 1; pp. 6 - 13 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本物理学会
05.01.2012
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Summary: | 金属中に不純物などの欠陥を導入すると,その周囲の自由電子は欠陥によるポテンシャルから影響を受け,その波動性に起因した変調構造を誘起する.自由電子の状態密度分布に現れるこの変調構造は,電子定在波あるいは準粒子干渉パターンと呼ばれる.一方,自由電子の感ずる静電ポテンシャル分布やその密度分布に現れる変調構造がフリーデル振動である.本解説では,走査トンネル顕微鏡/分光(STM/S)によるそれら変調構造の実空間観察について紹介し,最近注目されるトポロジカル絶縁体表面などラシュバ効果等による特異なスピン構造を持つ表面での電子定在波の観察や,混同されやすい2つの振動構造の差異について言及する. |
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ISSN: | 0029-0181 2423-8872 |
DOI: | 10.11316/butsuri.67.1_6 |